光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

花茨

ふた月の黙の育てし花いばら 花いばらこの下町に句座いくつ 野いばらや雨の過ぎれば白き径

夏の雨

魂の穴撃ちぬけり夏の雨

短夜

短夜のマンハッタンは蒼きジャズ 水底をノックしてゐる山椒魚声かける似顔絵描き師夏の夕

新樹の夜

(唐十郎 紅テント・・黒手帳に頬紅を) 鬼子母神境内夕暮れに夕暮れ重ね五月尽デカダンの漢屯す夜の新樹 異次元へ誘ふ黙の夜の新樹止まらないダンス・ダンス新樹の夜

はかなきもの

クリムトの黙金色に夜の新樹 新宿の夕暮れ青き五月かな禿頭を風洗ひけり麦の秋 存在も不在も同じ若葉風 ぼろぼろの街道絵図や麦の秋 麦秋やはかなきものをひとといふ

麦秋

金平糖掌に聖母月逝かしけり 新樹光彼の日の火傷疼きけり麦秋やラピスラズリの深き青

青あらし

藤房の和毛に戦ぐ光かな 藤棚を組む漢らの訛かなマンハッタンブルーノートの青あらし

夏木立

新樹光その日の火傷潜みけり 闇といふ光(かげ)のありけり夏木立 葉桜や摩天楼より日の欠けら

「河」

角川春樹主宰出句 泰山木の花や日暮れに父の声 父の日や昭和の父は何処にゐる テーブルの上に海ある薄暑かな きんつばの塩味八十八夜かな 冷蔵庫ひとりの部屋に日の暮るる

青時雨

青時雨ジャズが聞こえる葬の列 光りより速き言葉よ青嵐 トンネルの入口出口聖五月

聖母月

聖母月児の手に光る金平糖 夏めくやラピスラズリの湖平ら葉桜や五体投地の亀二匹

新樹光

芍薬の蘂に雨滴の転がれり 野球する少女が九人新樹光ミントの葉添えられ氷菓耀けり 機上より見る六甲の薄暑かな

青嵐

上洛の旅は薄暑の美濃路かな 青嵐彼の日の矜持剥落す 言葉より矜持が大事花は葉に

母の日

生まれたる日こそ母の日風優し大輪の薔薇の真横に吾子の佇つ 言の葉の棘抜いてます薔薇の苑

新樹

夜の新樹紡ぐ言葉も失せにけり 夜の新樹吾子は悲しく入院す新樹光指のあいだに日の火傷

若葉

この星に花かたばみの宿りけり 五月闇我が脊椎をなめにけり この町を愛撫してゐる若葉かな

若葉雨

欲望の畳まれてゐる新樹かな 沈黙を欲る言の葉や若葉雨戦争に吊るされてゐる聖五月 沈黙の消えし焔の五月かな

桜の実

昨夜の雨風に光れば桜の実 雨粒の桜の実より雫けり吾統ぶる鷹は孤独や麦の秋

子供の日

母の水脈天に繋がる子供の日 夏立つや少年が追ふ母の水脈戦ぎたる百人町の残花かな

立夏

駅までを歩きたくなる立夏かな ジャスミンの日差しの中を歩きけり 友送る立夏の雨となりにけり

みどりの日

餡パンの餡柔らかきみどりの日 香水の小瓶転がるみどりの日 みどりの日タンゴなんぞを踊らうか 自画自賛などと云われてみどりの日

河 

角川春樹主宰作品 剥落の昭和史といふ残花かな ゆく春や昼餉に昨夜のカレー煮る ぼろぼろの風吹いてゐる修司の忌 平凡ないのちが春を惜しみけり 晩春やグレン・ミラーのSP盤(本日出句) 行く春の鉄の架橋の響きけり 主宰佳作 一人分の孤独あげます修司の忌 …

五月来る

五月来る記憶の底の荒野かな 聖五月泪の銀貨零れだす 花あざみ風の階段登りけり

聖五月

だいじょうぶと母が言ふから聖五月 聖五月希望の粒子降り来る新しき年の始まる五月かな