2011-01-01から1年間の記事一覧
大年の繋船ホテル揺れやまず大年の襁褓きつぱり干されけり
冬銀河時空の瓶の底にあり
ゆりかもめ手紙のやうに浮かびけり
失語して記憶の中に冬籠る
クリスマス聖者はウェブを漂流すクリスマス父を演じてゐたりけり
無蓋車の走る天皇誕生日
ポインセチアひと遠くゐる窓明かりポインセチア烈しく生きよ堕落せよ
枯野より枯野を剥がす軍手かな
銀紙を折れば飛び翔つ冬の蝶
ひだまりが猫抱いてゐる冬の午後
狼の絶えたる国の冬桜
鉛筆をピンと尖らす冬の朝
冬の蝶揺らめく時空渉りけり
天狼や無言で終わる神話劇天狼や砂漠移らふ大河あり
しぐるるや人遠くゐる修羅の街レノン忌の日暮れ羽摶くもののあり イマジン忌虚空へ耳を澄ましたり 灯の入りしダコタハウスやレノンの忌
街しづかなり寒鴉啼く朝は
歳月の煮えてゐるなり鮟鱇鍋
ひと遠く窓辺にポインセチアかな
雑踏に阿修羅の眼十二月
十二月風は水面を窪ませり 淡墨桜しづかに裸身晒しけり 己からなにかが抜けて冬温し
沖を見て膝の冬日を抱きけり
海鼠棲む星の闇よりヒトのこゑ
十一月水より透きて過ぎゆけり
俳句界賞十二月 特選マンハッタン・グランド・ゼロへ小鳥来る
亀の目に青き血脈冬銀河 冬銀河より垂直に命の緒 冬銀河万羽の鶴のこゑ渉る
波郷忌の水鳥殖ゆる葛西沖詩の水脈あをあをとあり波郷の日葛西橋日暮れ来てゐる波郷の忌
みちのくにしぶしぶ時雨来てゐたり
猫バスのやうな猫ゐる冬日向
また大河生れる砂漠そこに冬
カトレアのやうなひとから諭さるる