光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

四月尽

アレグロの風吹き起り四月尽

暮春

横須賀の海に空母とゐる暮春

ひこばえ

ひこばえやいのちといのち共振す

花は葉に

花は葉に石のテーブル鉄の椅子

猫の恋

子を産めぬ体にされた猫の恋

春暑し

春暑しマヌカン抱へ人過ぎる

飛花

身を任せ飛花の洗礼受けるべし

復活祭

ショコラティエの感性ひかる復活祭

紙風船

「死」はいずれ「忌」となりにける紙風船

風車

こぼれ落つ遥かなる日や風車

春の闇

膝抱へ座してゐるなり春の闇

行く春

行く春の痕跡とどめてゐたりけり

吉野山

虚空へと白山桜咲き上る

啄木忌

夜汽車来る美しき不安の啄木忌

落花

皺袋なる象よ落花浴びてみよ

桜しべ

胎蔵に音たてて降る桜しべ

桜隠し

足湯して桜隠しのなかにゐる

逆上がり出来しその日の桜かな 花の世に四肢を投げ出しオーソレ・ミオ

夕桜

窓の外時間は赤し夕桜

花筏

いづくへと還るいのちや花筏

万物を横に観てゐて散る櫻

春愁

春愁がドライマティーニ飲んでゐる

春光

春光や神の素足の天降り来る

地下鉄を地下からひつぱり出す桜

花笑み 令和

令人と和らぐ風と花の笑み

「河」四月号  掲載作品

兄のミット うぶすなに芽吹きのこゑや兜太の忌 きさらぎの光雫のなか帰る しづかなる雨の茶房や黄水仙 神話なき世に天狼の冴返る 漂泊の詩の縫ひ目や西行忌 不意に来し別れありけり雉子の聲 投げ込みし兄のミットに海市立つ