光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

春の神

コンビニのものなき棚に春逝けり人間を深く愛しぬ春の神

三月尽

草色のもの溢れゐて三月尽 雪柳空どこまでも青くあり

葛西臨海公園吟行

菜の花の光りあいつつ展ごりぬ 春愁や回つてゐない観覧車 菜の花を映すガラスの展望台

初蝶

筑波嶺に桜咲かしめ虚ろなり 初蝶の舞ひ出ずメール開きをり 呆けゐて菜の花月夜浮遊せり

花女郎

地震跡に深き黙ある入彼岸花女郎彷徨ひながら北上す 大地震の国北上す花女郎

入彼岸

またの世へ好奇心湧く入彼岸 春満月孤独の力引き合へり

非在の神

なゐふるや非在の神を謗りけり よろこびの仮面被りて海市過ぐ

「たぢから句会」

みちのくの海をしづめて春満月 地震狂ふほぞ噛んでゐる国つ神 復活祭海暮れてより鳴きにけり 磯巾着異界の黙を吐きにけり 辛夷咲く昭和幻燈小路かな

春満月

みちのくの海のしずまり花咲けり 血と海の彼方陽炎ふ陸奥の国 春満月水漬く屍の飛翔せり

「河」

「角川春樹主宰 東北関東大震災を詠む」三句地震狂ふ荒地に詩歌立ち上がる 新しきいのちの生るる飢餓の中 なゐふるや飢餓列島の吹雪きゐる 三月十日此岸は赤く吹雪きけり 特選 菜の花の中に仏をおろしけり 秀逸 地尽きる果ての海鳴りかぎろへり 秀逸

陽炎

かげらふにかの世へ翔ちしひとの影 息ひとつ暮春私は生きてゐる

淋し国

永き日や人声消えて淋し国 蜃気楼ひとみな海を見てゐたり 高き波入り江は深く冴返る

はちまん句会

ひこばえや大地をよぎる一車輌 まさ子 ひこばえや瀬音あふれてゐたりける 富士見 いくたびも花の吹雪を帰りけり 由美 昏れてゆく水のうしろの春のこゑ 和代 虚空より枝垂れてさくら咲きゐたり 光声 草餅やチャペルが五時を告げてをり 由美 復活祭ひとりの鍵…

三月十日

三月十日雪崩るる空を泳ぎけり 渡れない三月十日の空の橋 三月十日此岸は赤く吹雪けり

片栗の花

片栗の花咲き受胎告知かな 竜天に登り方舟壊れけり

朧夜

赤海星色褪せてゆく春の夜 朧夜の海より上がりきたるもの あめふらし岩礁にをりて日永し

春のこゑ2

暮れかかる柿の木坂に春のこゑ 鷹の座の一樹に春のこゑのあり そして又海市を過ぎる人の影

足跡を弥生渚に消しにけり 捨雛や漢にありし海の音 雛の宿雀がひとり遊びする

雛飾る

この星に遊びに来たる雛かな 黄昏の沁みだしてゐる紙雛 仏土から異国へ雛を送りけり

ついたち句会(小石川植物園吟行)

化石属てふメタセコイアの花粉かな さるすべりへそ曲げてより囀らず 古池に水音たてり春のこゑ 鷹の坐す樹冠に春のこゑのあり 蘇鉄の実殺めし理由はヒ・ミ・ツ この星の裏は雛の夜なりけり 頬に触るる風に母ゐる弥生かな おつとあるをんなのこひや春蚕飼ふ …