光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

銀河

いのちの緒しづかに銀河まはしけり

露草

露草や漢の保つダンディズム

八月

8月26日は 詩人 田村隆一の忌日 雨男喪の八月の日記閉づ

八月

ハミング・バード喪の八月の蜜を吸ふ

月下美人

母の忌や月下美人の咲き初める

かなかな時雨

ははひとりかなかな時雨帰り来ぬ

銀河

三十八億年銀河を生きて 我ら遇ふ

水澄む

水澄むや明治生まれの母の忌来

花木槿

孤独とはこんなものかも花木槿

夏の果て

タテカンのゲバ文字掠れ夏終はる

天の川

ファド洩るるバルの坂より天の川

敗戦忌

父の風立つ敗戦の日なりけり 偶々を享受して生き敗戦日 船載せて大川のあり敗戦日

残暑

雑踏に渦の目のごとゐる残暑

新涼

始祖鳥の翼涼しくひらきたり

八月

八月の墓標となりし海鳴けよ

葡萄

葡萄ひと房夕日あつめてゐたりけり

白夏

白夏の去りゆく尻尾ふと見たり

白桃

白桃の尻のあたりにある平和

立秋

秋立つや星の生死にかかわらず

さるすべり

幻の孫は三人さるすべり

炎帝

炎帝や被爆電車がすれ違ふ

夏の果て

夏の果て駱駝のあくび見てをりぬ

甲冑を脱ぎ捨て蝉の唄ひけり

空蝉

空蝉にまだ残りたるみどりの夜

闘魚の死 (河八月号掲載作品)

親不知・子不知泣くや卯波の夜 陸離たる空へ泰山木咲(ひら)く 掌を解けばさびしさ残る父の日よ 虚しさに飽きてしまひし闘魚の死 生きたし。時の余白に夏つばめ はまひるがほ少女沖より濡れ来たり カルチェラタンに喪の六月をまた老ゆる