鴛鴦の水脈涸れずあり詩の器 悲しみは拳のかたち通夜寒波 街騒を消してやさしき寒の月 古書街の十一月の日の匂ひ 書架に差す冬日に眠る罪と罰 睥睨す皇帝ダリアなら許す 冬三日月黙しがちなる一行詩
報はれぬ生き方もあり冬山椒 あたたかや妻を名前で呼んでみる 冬銀河こぼれて巨鯨美しきかな 襟立てしコートの歌人絶叫す 虚空より手紙のような初雪来
あかつきの闇に拾ひし月の殻 幾星霜生き延びてきて草の花 花野から荒地へ向かふ母若し むきだしのたましひとなる夕花野 黄落のひかりに溺れてしまひけり 詩のつばさ持ちて渉らむ銀河かな 重力波たゆたふ銀河より銀河
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