2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧
蝶番ひとつ外れて九月尽
暁闇のつくづく深し秋のこゑ
一海に頬まだ丸き秋燕
ああ檸檬望郷なんて無き我ら
月光の射して紫煙のピアノバー
ふらんす堂文庫一冊秋の夜
月光の棺へ小鳥来てをりぬ
糸瓜みて悪女を思ふ子規忌かな
月光の貨車すれ違ふ駅にゐる
天高し都会の色に出会ひけり
飛行機の野分の空に響もせり
殺がれたる耳を花野に拾ひけり
灯の点り初める路地裏酔芙蓉
芭蕉葉を揺らす昭和の風のあり
蜻蛉来るまるであなたのやうに来る
花野風さびしさ我をとほり過ぐ
新涼のふらんす堂の新句集
葡萄牙 薔薇闌ける薔薇の向かうに葡萄牙 薔薇の雨永遠の夢みし酔(ゑ)ひもせず 荻窪の駅の灯りも梅雨に入る あぢさゐのうしろは海の暮れてをり 四葩より四葩へ暮れる一日かな 峰雲や詩は垂直の声ならむ