2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
まぼろしの白鯨探し五月尽去りがたき薔薇浄土にゐ五月尽
礼拝の木椅子は黒し薔薇の窓
一匹の蟻を殺めず見てゐたり
ライオンの天井たかき薄暑かなジャズ聴けば微熱の匂ひ夕薄暑
定位置に靴箆のなき夕薄暑
真直ぐに歩きはしない青葉闇
老木も青葉若葉に鼓動せり
色褪せた記憶の隅の虹の橋
退廃の美学のあれば薔薇の雨
はつなつの鳥語を聴いてゐたりけり
反骨の無名ゆたかに郁乎の忌
泰山木咲くや天上鬱明り
華甲とはとほきなりたるえごの花
磔刑の日の遠くあり山法師
生まれたる日こそ母の日風薫る
薔薇の香に憩へばここも浄土かな
母の日の雲生まるるを見てゐたり
風薫るシニア世代のフィットネス
いのちの根じつくり見つめ葱坊主
汝(なれ)はもうあちらの國か麦の秋
夏立つや道にひろがるカフェの卓
新樹光ことば奏でる子が駆ける
黄金週間一人で手紙書いてゐる
決闘も辞さぬ刃や寺山忌修司忌や言葉発掘してゐたり
海境の風届きけり遅桜
頬撫ずる風に詩ある五月かな
バレンタインデー忘れたふりをしてゐたり 人体の紐解けゆく木の芽風 たんぽぽや深まなざしの母がゐる 死はいつも他人事なりし豆の花 はるかなる聲に呼ばれし帰雁かな 三月十一日手紙のやうに雪ふれる