光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

五月尽

まぼろしの白鯨探し五月尽去りがたき薔薇浄土にゐ五月尽

薔薇の窓

礼拝の木椅子は黒し薔薇の窓

一匹の蟻を殺めず見てゐたり

薄暑

ライオンの天井たかき薄暑かなジャズ聴けば微熱の匂ひ夕薄暑

夕薄暑

定位置に靴箆のなき夕薄暑

青葉闇

真直ぐに歩きはしない青葉闇

青葉

老木も青葉若葉に鼓動せり

色褪せた記憶の隅の虹の橋

薔薇の雨

退廃の美学のあれば薔薇の雨

はつなつ

はつなつの鳥語を聴いてゐたりけり

郁乎忌

反骨の無名ゆたかに郁乎の忌

泰山木の花

泰山木咲くや天上鬱明り

えごの花

華甲とはとほきなりたるえごの花

山法師

磔刑の日の遠くあり山法師

風薫る

生まれたる日こそ母の日風薫る

薔薇浄土

薔薇の香に憩へばここも浄土かな

母の日

母の日の雲生まるるを見てゐたり

風薫る

風薫るシニア世代のフィットネス

葱坊主

いのちの根じつくり見つめ葱坊主

麦の秋

汝(なれ)はもうあちらの國か麦の秋

夏立つ

夏立つや道にひろがるカフェの卓

新樹光

新樹光ことば奏でる子が駆ける

黄金週間

黄金週間一人で手紙書いてゐる

寺山忌

決闘も辞さぬ刃や寺山忌修司忌や言葉発掘してゐたり

遅桜

海境の風届きけり遅桜

五月

頬撫ずる風に詩ある五月かな

河 五月号掲載作品

バレンタインデー忘れたふりをしてゐたり 人体の紐解けゆく木の芽風 たんぽぽや深まなざしの母がゐる 死はいつも他人事なりし豆の花 はるかなる聲に呼ばれし帰雁かな 三月十一日手紙のやうに雪ふれる