光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

水母

天上の海に水母の群だしぬ 透きとほり青が水母となつてゐる 魚となり銀河の涯へ下りけり

山椒魚

月浴びて寂しき星を泳ぎけり 山椒魚月のかけらを吐きにけり 月光に寂しき星の山椒魚

ほたる

ほうたるの一樹ありけり一つ翔つ ほうたるの一樹は闇を深めけり

向日葵

晩夏かな自己韜晦の群にゐる 駿めく髭で銀河を渉りけり 向日葵や茶色の戦争ありました

舟虫

砲声の沖より聴こゆ晩夏かな 舟虫や愛に包まる進化論 アルゼンチンタンゴ闘魚を赤と化す

大暑

赤信号点きっぱなしの大暑かな 吹き抜けの喫茶店にゐて大暑 宅配便ベルを二度押す大暑かな

「河」江戸川勉強会

よもつひらさかほうたるは闇深めたり その日より光る蛍となりにけり 闘魚いま赤きタンゴとなりにけり マザーリング手繰りて渉る銀河かな アンドロメダ銀河となれる魚群かな 憎しみを地下に満たして夏あざみ 終戦の日をワンモアキスというバーに 黒シャツの一…

地図にない砂漠の果ての泉かな 人工の骨涕く夜のぬかご飯 闘魚いま赤きタンゴとなりにけり

風鈴

炎帝へ時間預けて籠りけり 猛暑かなハイエナにある食序列 風鈴に忍の一文字哀しけれ

夏蝶

夏蝶の墜ちし草間に水の音 夜のタンゴ闘魚互ひに睨み合ふ 向日葵や焦げた匂ひの海鳴りす

天の河

手のひらに宇宙の在りて天の河 月浴びてぐんぐん走るスニーカー 晩夏光魚群銀河となりゆけり

サングラス

未来から現在覗くサングラス 歌舞伎座の裏側暗き晩夏かな 雨風の音ゆたかなる晩夏かな

水中花

夜の地震にかすかに揺るる水中花 此の道はいつか来し道花ざくろ たましひの集ふ幻夏の蛍の樹

晩夏

エンドロール流れ晩夏の固き椅子 新宿二丁目晩夏のジャズを拾ひけり その日から折鶴何羽翔つたらう

金魚

金魚らはひかりの中を泳ぎけり 吾子の名を付けた金魚を放しけり 何思ふねむらぬままの夜の金魚 黙といふ意思表示あり夜の金魚

百日紅

森閑と白さるすべりさるすべり 紫薇白薇しんかんとして日暮れけり 炎天にゴールキーパー孤独なり

晩夏光

涼しさやマンボウ泳ぐサンシャイン 晩夏光魚群銀河となりゆけり 晩夏光欠けたまんまの奥歯あり

夏薊

もどりくる朝のバスあり夏薊 坂下のコーヒーショップ晩夏光 口笛を吹きしその日の薄荷水