光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

春近し

寒の水悲の器より溢れけり 陽のひかり放ちて淡海春近し 哲学の途に赤蕪吊られけり 蒼穹へ緋の胸中の鷹放つ

青樹会 新年句会

雪は夜の湾曲線に沿ひ降れり 山河はや寒の水音迅まれり 初明り沖より誰か遣って来る 水仙や日暮のカフェに死角あり

海鼠

午後の海海鼠が眠りから醒める だまし絵にまぎれこみたる海鼠かな 迷宮が口開けてゐる海鼠かな

春隣

往還の辻の明るき春隣 ジャンヌ・モロー黒衣を好む春隣 陽のひかり放ちて淡海春近し

時間

夜はタンゴ暖炉に時間焼べやうか 腐蝕する時間眠りぬ寒卵 一瀑に時間と光り凍てにけり

春の手前

孤独とは春の手前で別れけり

黄水仙

黄水仙誰かに逢いに駅へゆく

冬の月

一角犀突上げている冬の月 冬の月風の化石を泣かしけり 井戸ひとつ砂漠に眠り冬の月

龍の玉

冬満月光る樹幹の生れにけり 絵のなかのふたり黙せり龍の玉 龍の玉不在の水のこゑすなり

薄氷

薄氷を掬へば綺羅の零れけり 尖塔や見上げつくして冴ゆるもの 夜はタンゴ埋火にある緋の時間

河 江戸川勉強会

さざんくわのほぼちりつくすあかるさよ/美智子 縊るにはむかぬ襟巻だと思ふ/美智子 凍結のへりまでは日のさざめきぬ/美智子 ワット数のちがふ男女の裘/美智子 冬の木の千手の零す星の光ゲ/恵美子 そしてまた歳の話よ粥柱/ちえ 冬の虫心の枷を食べに来い/千明…

冬うらら

冬うらら愁ひの王が夢想せり 非在なる神の両手の冬の月 生きてきた時間ざわめき冬うらら

夕鶴

夕鶴の鬱が虚空に展がれり 天上へ還りし鶴の舞ひ止まず

河 

(角川春樹主宰作品) ゆずり葉や二句一章の詩を継ぎぬ オリオンの彼方をわれの恵方とす 寒椿時間の束が落ちてゐる ひとりはひとつのいのち日脚伸ぶ 去年今年はるかなこゑが亙りゆく あらたまの夜明けを魂の亙るなり本日出句3句 ひとはみな生きて流さる師走…

寒の水

たましひの光り湧きゐる寒の水 こゑのなき日暮来てゐる寒の水 寒の水しずかに満たす悲の器

隅田川七福神めぐり

あきらかに冬木の芽なり少年期 寒晴や高塔いまだ伸びんとす 冬日差す墓誌に血脈物語 倚り掛る冬木の影のゆらめけり 冬天へ伸びる鋼の心柱 人日やタイガーマスクになりにゆく ***** デコちゃんに昭和の残照雪降れり 水仙や願書食み出す過去のあり 夜は雪…

大鷲

大鷲のしずかにゐしが羽ばたけり 俳諧門毀し大鷲翔ちにけり たましひの一詩生れて吹雪きゐる

着膨れ

着ぶくれて風の化石となつてゐる 粗金の鶴に氷柱の耀けり

河 

(角川春樹主宰作品) 夕鶴となりて還りし空のあり 一月やもののふを継ぐこころざし 浮寝せる鴎に年の立ちにけり ひとりひとり生きる淋しさ師走尽 大鷲の年を言祝ぐ淡海かな 去年今年わが荒魂の吹雪ゐる(中央句会出句) 初富士やほろびゆくもの見据ゑをり 佳…

冬の街

冬の街さびしきひとの影動く 寒椿ひとに銀河の流れゐる

寒の水

寒の水悲の器より流れけり もののふが髭剃ってゐる寒の水 白州を寒九の水で割りにけり

四日

尾骶骨不可思議にある四日かな 日向とは嬉しきところ帰り花

2010年回顧

一月 天狼や狂ふことなく生きてゐる 石走る水のこゑある淑気かな 寒の水人間の管落ちにけり 二月 蒼天に告天子は撃たれ建国日 三月 図書室に少年ひとり鳥帰る 四月 いのちの緒つなぎて桜しだれけり 五月 みどりの日アクアマリンの雨が降る 六月 父の日の遠き…

三日

テーブルの上は荒野や年賀客 叫ぶもの暗渠にありし三日かな

大旦

肩書きは詩人で生きて去年今年 テーブルの上の荒野の大旦 流れ来て見知らぬ山河去年今年

初日

初日あびしずかな塔のそそり立つ 無常迅速流るるばかり去年今年 たまきわるいのち微塵や初御空