2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧
楼蘭のやうな食卓花ふぶくうずたかく積もる懺悔や弥生尽
泥濘みし時間の先の花吹雪
再会は乙女椿の花の前
敷島のかくあれかしと桜咲く
鬱王はペンペン草に励まさる
花に雲過去の流るる神田川
シーソーの揺れまだつづく雲に鳥
生きてゐてよかつたけふのさくらかな
初蝶の綺羅浮き上がる朝かな
やはらかく漕ぐ自転車や花菜風
春分の日の横向きの蛇の影
平凡な言葉は強しつくしんぼ
春なれや餌台ゆらす鳥のこゑ
喜望峰大回りして春の風
石くれの野にランドセル陽炎へり
神の手と小さき人の手山笑ふ
鎮魂の三月の海溢れだす
いのちの緒掴めば応う春銀河
たましひと春満月の重なりぬ震災忌野にも海にも雪ふれる三月十一日沖よりこだま歸りたし
三月十日ホロコーストの街に棲む
三月十日十一日こゑ数多
さびしいか寂しいか彼の犬ふぐり
啓蟄や足下の土の身にしみる
春風のやうな詩詠む人に逢ふ
「生きる」 雪来るかひたすらシャドーボクシング 生きるとは蒼天をゆく鷹一羽 枯野まで風の棲みかをたづねけり 降誕祭大きな真夜の来てゐたり 極月の監視カメラの街にゐる 鷹の座に風吹きかはる四日かな
雛の日や集ひたるこゑやはらかし雛の日の時間ゆつくり流れをり三月の海見えぬやう雛飾るむらさきのフレアスカート冴返る
亀戸天神母ゐるやうな春の昼 如月の探しあてたる樹の時間 下町の空饒舌となる弥生白梅紅梅黙りゐること美しき囀りや天使堕天使澄ましゐる
蒼き星踏みしめ卒業してゆけり