光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

海鼠

鍵穴の向かう海鼠の俺がゐる 鶴凍てて誰も還らぬ日暮れかな

冬林檎

幾億の夜を閉じ込めて冬林檎 雪女泣いて諌めて行きにけり

ホットケーキ

四温なるホットケーキの昼餉かな ホットケーキふたりの空へ裏返す ホットケーキこころの色に焼きて冬 ホットケーキ食べて詩嚢を肥しけり

墨田ついたち句会

街騒の凍てついてゐる男坂 鐘の音の凍ててニコライ堂にゐる 水仙や男は愚直で通すべし 神木に一月の影立ちにけり 待春や犇めいてゐる千社札 冬北斗より詩は垂直の声 垂直な詩の声のあり冬北斗 水鳥の光辷りて来たりけり 冬の銀河に泣かせたる母の声

冬星座

奥の奥ざわめいてゐる冬星座 凍鶴や還へるしかない我が孤独 一行の詩に戸惑ひぬ寒さかな

江戸川勉強会

オセロ置くごとく水鳥ゐたりけり/ひよこ 冬の海イカロスが今落ちてくる/ひよこしぐるるや村壊しゆくブルドーザー/みどり オリオンに撃たれてみたく巳を晒す/みどり百円で息災願ふ初詣/千明 会える日まで冬の金魚でゐたりけり/千明寝酒して漢の還つてゆく羊水…

凍鶴

鶴凍てて重さ失ふ地球かな 冬銀河最終バスは発ちにけり 夜会終へ万羽の鶴の凍てにけり

淺川マキ逝く

星冴ゆる浄水場に黒衣のマキ 冴ゆる夜のマキ渡りたる赤い橋 浅田飴卓に転がる寒夜かな 黒鳥の凍てて紫煙は垂直に 虎落笛不幸せてふ猫がゐる

小春

篁を抜け木枯しの透きとほる 乳母車遠ざかりゆく小春かな 黄水仙愚直な男来たりけり

冬北斗

(このブログへ辿り着きたる人へ) 透明な砂時計あり冬北斗 冬北斗砂洲(デルタ)ゆつくり成長す 冬北斗詩は垂直の声であり

河 

「角川春樹主宰作品」 数え日の日暮は旅にゐるごとし さえざえと揺るぎなき詩の羅針盤 独房のテレビとしゃべる三日かな 元旦やわが荒魂のしづかなり 年立つや個々にひとつの銀河あり 降る雪や琵琶といふ名の悲の器 未完なる空あり鶴の凍てりけり 寒の水人間…

寒夜

凍鶴は孤絶のたましひ晒しけり からつぽの肋骨鳴らし寒の水 笑ひ声立てて怯えし寒夜かな

おもしろい譬え

『日本には謎の鳥がいる。その正体はよく分からない。 中国から見れば、その鳥は「カモ」に見える。 アメリカから見れば、その鳥は「チキン」に見える。 日本国内では、その鳥は「サギ」だと思われている。 でも鳥自身は、自分のことを「ハト」だと言い張っ…

冬もみじ

掌が冬のもみじとなりにけり

海鼠の日

鉄の扉を淑気の開く海鼠の日 掌が冬のもみじとなりにけり 黄水仙朝日あたらぬ妓楼出づ

冬銀河

鉾杉に雪積もる夜の舞踏会 冬銀河美しき寂寞零しけり 金銀の風に乗り来る鶴万羽

河 新年句会

角川春樹作品 年ゆくやいのちの道の続くなり 屠蘇くむや今を生きるといふことを かの世よりこの世はるかに賀状書く 去年今年見えざる橋を渡りけり 光年の銀河に年の移りゆく 元日や去年のノイズが残る椅子 天狼や狂ふことなく生きてゐる 秀逸

水仙

水仙や朝日のあたる家にゐる 鉾杉に雪降り積もる夜会かな 試写会の椅子に濡れたる赤手套

福寿草

胎児はや笑み零しけり福寿草 福寿草地球の裏の鼓動あり 胸中に詩の溢れ出し福寿草

淑気

蒼穹に丸描く鳶の淑気かな ラグビーにホイッスルの静寂あり 胎内の記憶のひとつ冬銀河

元始祭

初御空地球に中心なかりけり ゆるぎなき一行詩あり去年今年 天皇のこゑ裏がはる元始祭

二日

胎内に進化論あり大旦 元日や中心の無き地球にゐ 胸中の炎の美しき大旦二日はや一族集い散じをり

鶴来る

ちちははを葬りし地より鶴来る りんりんとたましひ遊ぶ初御空 天狼や狂ふことなく生きてゐる