光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

七月尽

ダンディズムテーブルに置き七月尽 白孔雀ゐるホテルより夏の月アダージョに都心は日暮れ七月尽 ぽろぽろと愛繰り返し七月尽

炎天

トマト・茄子截る横顔の母がゐし 炎昼の逢引花舗へ消えにけり 炎天や坂上がり来る天秤棒

好きな子に一語あげやう夏薊 国境のありし峠や草茂る 戦争を知らぬ子供ら草矢吹く

白シャツ

夏銀河美しき寂寞吸ひよせり 花火散る闇の奥より方舟来 白シャツや何かうれしい日でありぬ

金魚

星はいま金魚となりて輝けり 透明な風に触れたる晩夏かな 砲撃音聞こえる距離の缶ビール

夕虹

夕虹やメランコリーな我とゐるうつかりと夢溶かしゐる氷菓かな

墨田句会 合羽橋商店街周辺

片陰の雷門に待ちゐたり 自販機に釣銭盗らる油照り (池波正太郎記念館) 鱸てふ一字鎮もる大暑かな 一番に大暑来ている鼻の先 (神輿屋) 正調の笛試しをり日の盛り 猛暑日の浅草探検殿に無口なる影縮まりし街猛暑 夏草やかつて生活ありし径 花やしき収まり…

蝉しぐれ

海月浮くから耳だけになってゐる 海底に鬼の墓あり蝉しぐれ 産道の奥の水底蚯蚓鳴く

蛍袋

おさなくて蛍袋のなかに栖む/野沢節子 逢ひたくて蛍袋に灯をともす/岩淵喜代子一語づつ蛍袋に仕舞ひけり ふるさとへほたるぶくろでかへりませう

月見草

アモルファスな不安膨らむ大暑かな 炎昼や放り投げたきもの数多 夢は夢のまま旅立つ月見草

皆既日食

日食や晩夏の黒き月に逢ふ 月と日の重なり淋し晩夏光 月の影過ぎる列島晩夏光 ダイヤモンドリング賜り涼しかり 炎昼に黒き太陽生まれけり

夏暁

夏暁やちいさきフーガながれゐる 軒先を大事に使ひ蜘蛛の数珠 ロダンの首落ちて涼しき石となり

海の日

白南風やハグして吾子は旅立てり たくましきオクラの花を仰ぎけり 海の日や赤道といふ紛いもの

「河」

角川春樹主宰作品 天蓋の蒼く澄みたる昴の忌 千代田区の雨の茅の輪をくぐりけり 文月やプラネテリウムの椅子にゐる 海の日の夕焼さめし海のいろ ヒロシマの一樹余さず蝉時雨 もて余すいのち四万六千日 硝子絵に透かし水無月みてゐたる 美智子秀逸 方舟に乗り…

プール

炎天や道路工夫の国訛 高層の昼のプールにゐてひとり 月光に触れ山椒魚発光す

蛍袋

透かしみる蛍袋の一語かな あの径はこの径と告ぐ風鈴草 あの道は蛍袋へ到りけり 黄昏や風鈴草の鳴り出しぬ

山椒魚

月光の容のくずれ山椒魚 方舟を一途に待ちて山椒魚 デボン紀の水声はるか山椒魚 月光に触れ山椒魚眠りけり 方舟に乗りそこねたる山椒魚 山椒魚月光触れし記憶あり

虎落笛定例句会

親父かもしれぬまひまひ飼ふてをり 青鬼灯少年の香とすれ違ふ 仲見世の屋根開かれて梅雨夕焼 人間に水掻き生える半夏生 水無月の写し絵の街彷徨ひぬ

鬼灯市

鬼灯の花や少年香を残す 青鬼灯少年の香と擦れ違ふ 騒めきの底に鬼灯市のこゑ

鬼灯市

ブログの調子が不安定。 「墨田句会 浅草鬼灯市」腹立つを抑えて四万六千日 鬼灯市いま青春の膝頭 鬼灯に透かしてみたる一語かな 売りごゑが梅雨の深さのなかにある 硝子絵を透かし水無月みてゐたる 仲見世の屋根開かれて梅雨夕焼 五重塔鬼灯明りに聳えけり …

「河」

水無月やワイングラスに海のこゑ 佐川・堀本・鎌田 佳作 蟻の列蟻の時間を運びたる 堀本 秀逸 福島 佳作 白亜紀の呼吸のかたち海月浮く 福島 佳作「角川春樹主宰 作品」 ゆく夏や健次の路地があったはず 原爆忌赤い時間が辷り落つ ヒロシマの夜は銀漢のさざ…

ひと遊び 30句

ひと遊び 梅白し亀の背中を蹴つてみる 二ン月の貌もつ石のありにけり 春暁の母の乳房に触れにけり 浅き春たぷたぷ鳴りし舟溜り 入り彼岸流れゆくものとどまらず 刻を積む砂時計にも春愁 桜人日暮の迷路彷徨す 麦秋の無人駅から日暮れけり 竹の子の一気に山を…

夏帽子

あの頃のわたしに戻る夏帽子 夏帽子ポプラ並木へ消えにけり 灯台を登りきつたる夏帽子灯台の螺旋伸びきり金魚草

荒梅雨

荒梅雨や砂漠の涯にある奈落 無口なる金魚二匹の日暮れけり 底紅に蠢くもののありにけり

若菜句会

片陰にはみだしてゐる石蛙 (若菜句会会員出句作品より・・小生ならこう詠いたい) M 魚跳ねる音はるけしや青芒 花よりも白き雲ゆく半夏かな 黒金魚掬ふ手にゐて瑞々し 風かとも影かとも思ふ黒揚羽 C 退屈をアイスに乗せて廻しけり Y パイナツプル優しき…

山椒魚

金魚玉に深海生るる日暮かな 月の舟待ち続けてる山椒魚 方舟に取り残されし山椒魚