光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

冬銀河

冬日ひとつルビンの壷を灯しけり 冬銀河ゆらめく時空のなかにゐる 冬銀河手を伸ばしきて我掴む

はちまん句会

冬の夜コンと哭かせる指ぎつね 雪催飢ゑたるパリは燃えてゐるか 雪もよひ燈台となるパン屋の灯 愛を売る店明るくてレノンの忌 狐火や別の手のひら見せやうか レノン忌のiPodで聴く落語かな さびしさの糸吐くごとく鶴来たり 神様の死角あたりを冬耕す

鯛焼き

はふはふと鯛焼き食うて四ッ谷駅 たまに買ふ鯛焼きうまし至福かな 鯛焼きの並び見てゐるスカイツリー 鯛焼きとなることなかれ一行詩

海鼠

ぽんと闇捨てて海鼠の動きたる 見苦しき白鳥の漕ぐ蒼さかな 湯豆腐の靄の向かうの摩天楼

渺茫なるかな

海鼠喰ひ未生の記憶辿りけり 山本健吉追悼 桐の花あきらかに師を失ひし/澄雄 森 澄雄追悼 あきらかに師を失ひし夏の果/春樹

冬の夜

さびしさの糸吐くごとく鶴来たり 雪催ルビンの壷に灯がともる 冬の夜コンと啼かせる指ぎつね

雪催

天山の蒼穹に鶴遊ぶべし 天翔くる白鳥こゑを盗まるる パン屋の灯点ゐて西口雪もよひ

天狼

義兄逝く 詩の欠片零し天山鶴逝けり 天狼やタクラマカンの砂のこゑ ひとの死ぬ不思議・ふしぎ冬銀河

胸底に十一月の海鳴りす 冬の雷はまぐり息を吐きにけり 天山の蒼穹を鶴引き絞る

山茶花

神域の山茶花いまを盛りなり 山茶花のほろと降りつぐ日暮かな 山茶花やゆつくり走る介護バス

十一月

小鳥来て欅大樹に溺れけり 沖を見るただそれだけの十一月 秘色とも違ふ色あり竜の玉

冬物語

黙祷やいつもの席に秋のこゑ 秋天へ天使の言葉置き逝けり ひと去りて冬物語始まりぬ

行く秋

行く秋や秘色を宿す水のこゑ 行く秋の蔵の窓より海鳴りす修羅棲みて泰山木の実は紅し

木守柿

まほろばの天に鷹の座思ひけり 木守柿遠嶺に夜の来てゐたり ジーパンの穴から垂るる銀河の尾 秋風や父似の石を拾ひたる**悼・松下千代先生** 紅葉谿仰ぎて千代の深煙草/広治 錦秋の山河逍遥千代逝けり/広治 時雨るるや手にぬくもりの言葉あり/久美子 (…

泰山木の実

瞬きの距離の銀河や生れ還る 秋逝くや秘色を宿す湖のあり 修羅赤く泰山木の実と化せり

木の実独楽

死んでゆくひとの身勝手茶立虫 桐一葉少しジョークが過ぎないか 時間軸の涯に止まらぬ木の実独楽

秋薔薇

もう来ないつもりの神社木の実降る 狐穴に詰りきつたる秋思かな 秋薔薇や飢えたるパリは燃えてゐるか 秋うらら舌がゆつくり回りだす*松下千代先生を悼む 千代さんを酔わせた酒を悔ゐて冬