光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

向日葵

向日葵やイカロス遠き空を墜つ

炎ゆ

残像のまだ炎えてゐる戦後かな

すすり泣く蟬の時雨もなかりけり

雲海

星空に発ち雲海の嶺に立つ

葛飾の風の匂ひや裸の子

炎暑

少女らが屯してゐる炎暑かな

万緑

万緑の水へたましひ遊ばせり

雲海

青年死して雲海の底かがやけり

ハンモック

豆の気持ちはこんなものかもハンモック

夕焼

夕焼けて人のかたちの美しきかな

晩夏雨

青年の死こそ美し晩夏雨

原発に潜む神あり青螢

日傘

絵日傘をぱつと差せない女かな

黒揚羽

黒揚羽アラビア文字のごと来たり

西瓜

愛情の押し売り西瓜大きく切る

梅雨

誰だつて淋しい梅雨でありにけり

青蔦

青蔦や「ぼるが」の壁に在る懈怠

梅雨

梅雨匂ふエレベーターにゐて独り

虹架かりけり水平線と地平線

夏の蝶

サーファーの白き懈怠へ夏の蝶

世界樹を灯す蛍に転生す

夕焼

夕焼けて母踏む蛇の目ミシンかな

梅雨寒

梅雨寒や湯飲み茶椀に一茶の句

蟻地獄

蟻地獄より生還すもののあり

木葉木菟

人間が甘いと鳴けり木葉木菟

梅雨出水

梅雨出水二十年後も此処にゐる

夏の喪

夏の喪やひとりひとりに深き海

七月

七月やデリフィニウムの青溢る