2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧
神宮の一樹余さず梅雨明ける
ハンカチは白し ノーブレス・オブリージュ
螢火は太古の闇を支配せり
沖縄忌ヤマト見ぬふり知らぬふり
東京暮色今日夏至の日と思ひけり 夏至白夜那由他の死と詩降りくるよ
箱船が錨を下ろす夏至白夜
ピリオドをどこで打とうか太宰の忌
父の日の坐るべき椅子軋ませり
青梅雨のこゑに太宰の書を開く
木下闇昭和の母が泣きじやくる
桃色の夕暮れさびし茗荷の子
青梅雨や書架に傾げる罪と罰
甘藷焼酎提げて逝きしか荒凡夫
回想の広野に螢群れ飛ぶよ
坩堝雲流る途方に暮れし蜷の道 春燈のきのふに遠き家族かなわが詩の師系に花のこゑのあり花風の坩堝に溺れたき真昼天も地もなし桜吹雪の真中にゐ ひりひりと孤独ぞ桜しべ降る夜帰りなんいざ十四の春へ啄木忌
鉛管のしめりのやうに六月来