2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧
あたたかな余白広がり二月尽一湾の夕日を孕み二月尽
白魚や進化論とは何だらう
嵩をなす時間の青き梅二月
一本の樹が立ち春のわが荒野
たんぽぽや縁側長き祖父の家たんぽぽや深まなざしの母とゐる
春の日や小さきパン屋の列にゐる
待ちわびた春野に遊ぶ三歳児囀りや天使が通る修羅の街地震語る魚であるべし春の丘
小さき耳お茶目な鼻に春のこゑ
たんぽぽや母哭きし日は海鳴りす
魚たりし原風景や春のゆめ
詩の欠片喰みこぼしつつ鳥帰る
春宵の影ヒトとなり歩き出す
春愁やすれ違ひたる小惑星
春風のざつくばらんな己かな
クレソンのみどりまぶしき春の水
バレンタインデー忘れたふりをしてゐたり
かげろふや瞑想したる鳥に会ふ
物売りの声通り過ぐ建国日
風となるニケの翼に春のこゑ
白梅の向かう昭和のゴージャスさ
蕗の薹ひとつ入れたる江戸切子
雪来るかひたすらシャドウボクシング
源義忌出でたる月に黙礼す 彼の狼絶えて光の檻しづか ジャズ止んで身に木枯しを聞きゐたり 無蓋車の走る天皇誕生日 止り木に彼のイヴの夜の父がゐる 標の樹とほくなりたる夕枯野
いのちあるもの生まれ出で水温む
葬送のロケンロールぞ木の芽風
青き鷹詩天の空へ翔けゆけり
スカラベを導くものに春銀河
ガーゴイル二月のいのち吐きにけり