2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧
さるすべりいつかひとりの極楽寺
虹冷えて少女の消ゆる書肆山田
愛憎の奥処に螢点りけり
肉色に月は濡れをりさるすべり
河童忌を過ぎて濃くなる百日紅
踊つて踊つて死者のたましひ招きたり
たそがれの白き薔薇より火の音色
片蔭をシーラカンスの歩みけり
七月の日陰なき橋渉りけり
人力車磨かれてゐる朝曇
向日葵や子ら背を向ける深き黙
生きるとは愛することと説くきみの 眼鏡の奥にいつもある黙恐竜の最後の一頭滅ぶやも どかんと星の生まれ出づとき
虹狩りへ行かうとメールくる大暑
校終えてまずは麦酒の今宵かな
馬車道をアイスクリンの風走る
螢火が大きな闇を連れてくる
こゑ灯すことの叶はぬ螢かな
七月の猫と光と水たまり
ラムネ壜翳せば見ゆるお下げ髪
金魚二匹けふの日暮を泳ぎをり
七夕や戦争色の竹撓る
方舟をひたすら待てば星涼し
螢火や黒き奈落のある山河
たましひになりかけてゐる螢かな