光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

六月尽

雨しとど喪の六月の日記閉づ

紫陽花

あぢさゐに触れ触れがたき黙のあり

浜昼顔

はまひるがほ少女沖より濡れ来たり

植田雅夫氏の水墨画展(都立上野美術館)

天色(あまいろ)の空翔けぬけよ青葉木菟 評価より好き嫌ひなりソーダ水 クリムトの黙の犇めく炎暑かな

葛切

葛切や身うちに蜜の闇流る

遠雷

遠雷や告げてはならぬことのあり

青梅雨

青梅雨や窓辺にひらく歎異抄

六月

六月の死者がまた来る夕まぐれ

夏至

精霊の押し寄せてくる夏至白夜

蟻の列

蟻の列神在るごとく進みけり

驟雨

アルバムや驟雨のごとく思慕奔る

葬儀式

葬儀式 生と死を担ふいのちや青嵐 緑陰や触れ得ぬ時間感じをり 見ゆるもの見えざるものへ月涼し

父の日

父の日の父へ手紙を書きゐたり カルチェラタンに喪の六月をまた老ゆる新宿ゴールデン街光りまみれの燕の子

梅雨

青梅雨や灯の入る洲崎パラダイス 江ノ電にポルノのポスター梅雨に入る

回想の広野に螢群れ飛ぶよ とらへたるほうたる罪のにほひせり

太宰忌

ピリオドをどこで打とうか太宰の忌太宰忌や帰らぬ猫を待つてゐる 揺れやまぬ音叉ありけり桜桃忌

梅雨晴間

ドア押してゆくあてのなし梅雨晴間

螢狩

螢狩へ泣きにきてゐる女かな

梅雨

かなしみや梅雨の彼方の観覧車

梅雨入

会話なき夜の観覧車梅雨に入る

ジュークボックスから幻の螢飛ぶ

浜昼顔

カンタービレに波は詩ヘリ浜昼顔

はんざき

全人類老いたる夜の大はんざき

生きたし。時の余白に夏燕

河 六月号掲載

禁忌 「十五歳抱かれて花粉吹き散らす 修司」その日より逃げる術なし杉花粉 解かれゆく花の日暮の禁忌(タブー)かな 花の雨虚子忌の雨となりにけり いづくへと還るいのちや花筏 春深し飛田新地といふ異界 「われと来て遊べや親のない雀 一茶」一行の詩に生か…

蛙鳴くだあれもゐない泡宇宙

六月の雨

天安門に喪の六月の雨降りぬ

蛍火を待つ間のゆるき会話かな

六月

観覧車六月の蒼掬ひけり