光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2017-01-01から1年間の記事一覧

大歳

寂しさに生きて大歳くれむとす

冬の浪

冬浪の包み込みたる富士の貌

凍土

詩を孕む凍土に深き闇彫りぬ

聖夜

この星の陸(くが)に飢ゑある聖夜かな

吸入器

吸入器テレビの中はキスシーン

山眠る

蒼色にすさぶ神ゐて山眠る

見えぬもの冬の家族へ迫りくる

枯蟷螂

古書肆へと枯蟷螂の紛れ込む

何もかも映し込んだる冬の池

裸木

裸木やすべてを語りつくしたる

狼は屋根無き檻にしぐるるか

ポインセチア

ポインセチア何ゆえ愛は不平等

寒鴉

防衛省前の夕ぐれ寒鴉(かんあ)鳴く

冬日

冬日ひとつルビンの壺を灯しけり

皇帝ダリア

皇帝ダリア咲きたる空の軍用機

湯豆腐

湯豆腐や今さら好きと言はれても

五十五年ぶりの中学同期会

冬銀河零せよ十五のうそ・まこと

冬銀河

閉ざされた時間の外れ冬銀河

憂国忌

愚かさに魅かれてゐたり三島の忌

湯豆腐

湯豆腐やふたりになつて知る孤独

時雨

しぐるるやアクアマリンのピアス透け

石蕗の花

しづけさの匂ふ路地裏石蕗の花

神の留守

神留守の廃炉に黒き大袋

枇杷の花

あきらかに今は戦前枇杷の花

皇帝ダリア

皇帝ダリア1並ぶ日に咲きにけり

石蕗の花

両の手の拳が弔意石蕗の花

秋逝く

秋逝かす未完のままのカレンダー

黄落

黄落やデッキチェアで拭く眼鏡

山廬吟行

水奔る山廬後山に木の実降る馴染みある山の高さよ秋逝けり秋晴れや詩の魂に触れたきよ

天高し

天高し掬ひきれない一行詩