光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

とろろ汁

この家に生まれて育ちとろろ汁 後戻りできぬ跳ね橋秋澄めり 晩秋の道に羊と山羊と我

晩秋

手のひらに怯えてありぬ青葡萄 毬栗や未知のけものの如くあり 秋暁や踏ん張つて漕ぐ配達夫晩秋の遥けしこゑの水にあり 紅葉して摩天楼の空青くあり

色鳥来る

膝小僧抱へて萩のひと夜かな 肉体と思想のはざ間色鳥来 行く秋や二重螺旋のいのちの緒

小鳥来る

爽やかや不意打ちにくる詩ひとつ 根の国と銀河の吾は回遊魚 足首に薔薇の刺青小鳥来る

漢の句会(たぢから句会)

晩秋やタンゴ踊れば二十五時 稲妻や盲導犬の耳照らす 曼珠沙華母につながるひと集ふ 我が影と遊び呆けて秋の暮

笑っていいとも

秋闌る笑っていいともお前なら CMの後ろの正面秋真昼 藤村も本名春樹山椒の実

墨田句会 幻戯山房にて

行く秋や子犬の両眼濡れそぼつ 深秋の飾られてゐるピアノかな 再会は色無き風の中であり 晩秋の濡れ羽色の帽子かな 透明な球体延ばし鳥渡る ひと遊びして銀漢へ帰りけりラ・フランス過去の女の如くあり

稲光

ひとり夜のブログ更新色鳥来 血脈のどこかどすんと稲光木曜の秋の鍵穴日暮れけり

鉦叩

ちちろ鳴く闇に火色の時間あり 寂しさはけふという日の鉦叩 落ちる音なにかと思ふ良夜かな

ラ・フランス

ラ・フランス過去の一日の如くあり 愛憎のあはひにしばし初しぐれ スカベラの動きだしたる初時雨

良夜

日の匂い柩に詰めて良夜かな 逝く人を彼の日に悼む良夜かな 降り積むる月光踊る良夜かな曼珠沙華寡黙なひとの列にゐる 曼珠沙華母につながるひと集ふ 言い訳に時間割く夜の野分かな

月の船

名月やふたりで越へる修羅の壁 ひと遊びしたから乗らう月の船 星飛んでたかが俳句と思ひけり

月の道

秋の蝶記憶の海へ堕ちにけり 一湾に月の道あり渡りきる 光年の銀河の涯を漂へり