2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧
天の扉を閉じ忘れゐて雁渡し
充実の色でありけり石榴の実
天高しことばはみんな嘘つけり
秋の蝶光の扉開きけり
土の香のこみあげてくる秋しぐれ
哀れかな少年の日の泡立ち草
夕鶴を想ふひとりの夜食かな
稲滓火の向かう昭和の日暮かな
指切りの別れや白き鳳仙花
青春の蹉跌のありし歌舞伎町いづこ曲がるも月の路地あり 百万回生きた貌する猫の眼が我をみつめて欠伸をしたり
秋の虹飢餓海峡に架かりけり
もう一度母に逢ひたし秋桜
躁・鬱の野分となれり吾の孤島
曼珠沙華許しあふかに野辺海辺
始祖鳥の羅針盤つけ鳥渡る
死の死など問うなと秋のつばくらめ
秋高し見えざるものと交感す
人間といふ淋しさに小鳥来る
絞首刑執行の朝小鳥来る
八月 八月のまつすぐにくる蟻の列 夕焼けのある星ゐて原爆忌 母の水脈追ふ少年に蝉時雨 健次忌の晩夏の雨に打たれけり 黄金街ジャズに暮れゆく健次の忌 健次忌の雨を熱気と思ひけり
倒れてもまた立ち上がる秋桜
真先に子らに十月来てゐたり