2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧
身の芯のいよよ透けゆき十月尽
草紅葉埴輪の馬の嘶けり
後の月見上ぐるひとの目に泪
九十九里沖まで秋の澄みにけり アラベスク白く生まるる秋の浜 海の端踏みて真白き秋逝かす孤独まで二万光年星澄めり 行く秋の母の一字に水平線
源義忌の大河へ靡く花芒
秋光を乗せて始発のバス発てり
行く秋のイーハトーブの光りかな
色鳥や詫び状二本書いてをり
木枯しをレンジで解凍してゐたり
金色の糸ひく夜の金木犀
露けしや天山の鶴まだ翔けず
廃校に彼岸花咲く夢の中
秋日かな背中に鱗二三枚
団塊の世代は一途芋嵐
ためらひの安田講堂秋しぐれ
海辺より始まる北の紅葉かな
にんげんの悪意の育つ花野かな
鰯雲一周遅れの子が二人
愛語また混じってゐたる虫の闇
ためらってまたあつまれる赤とんぼ
十月の花嫁赤きブーケ投ぐ 秋薔薇のやうに嫁いで行きにけり
水澄むやロルカを思ふ午後の五時
コスモスやどうにも寂しい歌がある
ひとはみな秋夕焼の国へ入る
ピーマンの花や手紙を二本書く
ラフマニノフ洩れくる朝の萩白し
おじさんと猫の寄り添ひ天高し
秋の蝶蜜吸ふときはひたむきに 会ふのみは逢瀬にあらず薔薇館(森敏子)
秋高し芙蓉のやうな人とゐて
ふらんす堂文庫の一冊秋灯下