光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

たぢから句会

松茸や真砂女の店の残り客 運動会ひるまの月がでてゐたり 方舟の碇を下ろす良夜かな

秋思

序の舞の扇にありし秋思かな 夜の底に襤褸の寝てゐる秋思かな 秋淋しアンクルトリス傍にゐて

良夜

独りならとんぼうとんぼ肩に来よ 止り木にアンクルトリスゐる良夜 一木の影にこゑある良夜かな

月光

月光や襤褸の寝てゐる夜の底 月映るさびしき水に顔洗ふ 月光に重さありけり萩乱る

日暮るれば萩のトンネル語りだす へびうりや草食系の男子来る 公園にひと待つ時間秋の蝉 こゑ掛けて薄細工を褒めにけり

黒葡萄

黒葡萄食めば流沙の音がする 空ろなる一樹影ある良夜かな

銀漢

銀漢や只過去・未来あるばかり エルヴィス忌砂の如くに雲流れ 桃啜る我が血脈を辿りつつ

花野

茸山微量の毒を醸しをり 道あるがままに花野を歩みたり 花野よりみぬ世のわれをみてゐたり

啄木鳥

啄木鳥や詩嚢静かに満ちにけり 楠の影にこゑある良夜かな 桃啜る我が血脈を辿りつつ

赤とんぼ

赤とんぼひと通るたび肩に触る まつさらな時間もありし実南天 いま触れし秋風に身を任せけり

柘榴

ワシコフの落とし忘れた柘榴かな 大鳥居潜れば萩の径であり すれ違ふ人みな過客萩の叢

良夜

極上の空しさ来たる良夜かな 老木の黙にこゑある良夜かな テントよりゴスペルソング良夜なる

案山子

豊国に月浴びてゐる案山子かな 案山子はや豊の重さを纏ひけり 月光にもつとも遠し捨案山子

とろろ汁

とろろ汁緋色の言葉咽喉落つる たましひの似たひととゐてとろろ汁 玻璃越しの糸瓜棚ありとろろ汁

九月

九月なほ疲れたるものみな眠る 明けてなほ海鳴りやまぬ九月かな 昏れてなほ九月の墨東彷徨へり

澄雄の日

みづうみの空に水尾あり雁の声 雁渡る海蒼茫と日暮れけり *澄雄逝く湖蒼茫と昏れにけり/千翔・・・発想の一致 月光や澄雄の恋ひし湖澄めり 澄みきつて我が蒼茫の空にこゑ/特選 雁渡る淡海の空に慕情あり/佳作 鳰の海蒼茫たるや雁渡る

九月

セプテンバー砂の如くに雲流る 秋の風巌の中を吹きにけり 弥生期の闇へ誘ふ虫のこゑ

桃啜る

牡牛座の漢は頑固秋暑し 血脈を辿りたき夜や桃啜る 饒舌の生みたる不信きりぎりす