2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧
傷癒えぬ山河のままに雪降り積む
教え子と冬青草に座りけり
尖がつた話の中へ冬の月
朱唇仏逃げてしまひぬ寒椿
みぞれ降る赤い扉のトリスバー
淡雪やこころの傷の匂ふなり
大寒の空にしづかな響きあり 大寒の雪の匂ひの近づけり
神保町田村書店の冬日かな
木枯しやカクテル色の日暮れあり
闇吐いてより海鼠らは海鳴りす
鬣のこぼしてゆける龍の玉
冬の蠅我のたましひかも知れぬ
方舟や一月の海漂流す一月の海と沈黙する空と一月の海の論理に刃向かひぬ
一月の大樹しづかに佇ちにけり
ヒト科ヒト列なしてゐる初詣
初明りいのちしづかにありにけり 詩を孕む時空しづかに初明り 初明り一樹の黙を晒しけり