2014-01-01から1年間の記事一覧
年逝くや光の巣箱開け放つ
終助詞「ね」捨て去り悲し去年今年
冬帽子腑抜けになつても屹立す
洗礼者ヨハネが来たる大花野
宇宙航く地球に虫の闇深し
ニヒリズムより秋蝶の吹きあがる
日暮れまで秋蚕のごとく眠りけり
幻想の都市空にあり曼珠沙華
人間は冠が好き鶏頭花
天高しことばとことばシャウトせり
きぬかつぎ男ははなし聞くばかり
さぼうるに日暮うべなふ九月かな
あ〜あ〜と溜息をつき八月尽ため息を吐きてわが身の八月尽
モノクロームの昭和の我ら秋暑し
雑草のもの言はぬこゑ敗戦忌
路地に降る雨をみてゐる健次の忌
八月や祇園精舎の鐘の音す
おろかさの極まりとして爆忌くるヒロシマへ折鶴何羽翔つたらう
傷の雨修司忌やエンドロールに傷の雨 修司忌の薔薇回廊にゐてひとり 母遠く吹くたんぽぽの絮なりし 薔薇の木に薔薇咲く父の日でありぬ 皮膚いちまい鞣してゐたり薔薇の雨 天皇制の向かう真赤なバルコニー
ルピナスの海に音なき日暮かな
師は生涯不良でありし青嶺かな
鳩居堂前に立ちゐてラムネ飲む
明易しジブリの森に彷徨ひて
夾竹桃しづかな昼の雨が降る
ヒト悼むやうに半夏の海鳴りす
夢殿夢殿やしづかに降りぬ花の雨 花あれば花の師系のとこしなへ 斑鳩に日暮れを急かす花しぐれ 花の夜のブルーノートにキャメルの香 どの木にも名前のありて風光る 信濃いま五月の水の奔りたる
六月の巨木に雨の降りにけり
夏至の日のペットボトルに深き海
父の日をひとりの椅子に過ごしけり
柿の花寡黙な人とゐたりけり