光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2014-01-01から1年間の記事一覧

六月

六月や水平線の入れ替はる はつなつの帽子は海へ飛びたがる 山田みづえ

時計草

伸び縮みしたき世界よ時計草

「河」6月号 掲載作品

孤島 花あればたましひふるへゐたりけり ひとといふ孤島に落花しきりなる 午後四時の裏側にゐる春愁 母を訪ひ桜時雨のなか帰る つかのまの人棲む星や花夕焼 花の日の暮れきる海のありにけり

六月

六月一日一匹の蟻みてゐたり

薔薇

軍靴近づく薔薇回廊の午後なりき

走り梅雨

半地下のカレー屋に入る走り梅雨

柿の花

柿の花身近に美しき死がありぬ

五月

書肆ぬける風に五月の匂ひあり

躑躅

躑躅山髑髏となりし夕まぐれ 無患子のからからころと別れよか 村重番

母の日

母の日のかひな二本に抱かるる

夏は来ぬ

切なさやダンディズムから夏は来ぬ

桜の実

子供らのこゑ一列に桜の実

子供の日

魚籠提げて子どもらの来るこどもの日

聖五月

あかんぼのほのかに甘し聖五月

逝く春

逝く春の山河に青き暮色あり

五月

ダイナモのやうに五月の来てゐたり

四月尽

少年の黙礼深し四月尽

豆の花

死者たちに生かされてゐて豆の花

逝く春

逝く春の未完の沖に光あり

花の雨

こめかみにふるるものあり花の雨

永き日

永き日や番矢の詩と櫂の詩

逃げ水

逃げ水にA滑走路浮かびけり花びらを踏みて異国へ赴任せり

花の暮

花暮れてやうやう星座下り来たり

花の世

花の世に四肢を晒してさびしかり

花時

花時のころを上野にゐてひとり

たんぽぽ

たんぽぽや記憶の底を風通る

三月尽

修羅街の夕空美しく三月尽

花時雨

江戸川も花の時雨に暮れゐたり

再会

田園調布春のお辞儀で再会す

春夜

ひたひたと軍靴近づきくる春夜