光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2012-01-01から1年間の記事一覧

去年今年

搾りだす記憶の光る去年今年

枇杷の花

あきらかに今は戦前枇杷の花

狸汁

化け猫の出さうな里の狸汁

裸木

裸木のすべてを語りつくしたる

海鼠

海鼠疾走愛のグラスは壊れさう魂にぶちあたりたる海鼠かな

ストーブ

ストーブに火の恍惚を焼べにけりストーブや葬る煙見てゐたり

狼を光の檻に飼うてみた

聖夜

この星の山河せつなき聖夜かな レノンの灯ほのめく聖樹に夜の深さ 聖樹立ちマンハッタンに森匂ふ老人があかんべをする聖夜劇 止り木に彼のイヴの夜の父がゐるしつかりと生きて聖夜の鐘を聴く 星よりも大き鐘ある聖樹かな

返り花

神様の死角にふたつ返り花 恋したる合歓の裸木告白す

寒立馬

寒立馬嘶き詩の屹立す寒月光廣野は青き海となる

2012年12月21日

平等や全てを埋めて雪降るか シナリオのあらすじ知らぬ枇杷の花マヤ暦の大きな始め冬銀河

冬桜

反骨で無頼は淋し冬桜

忘年会

あと二つなさねばならぬ年忘

寒晴れ

瑕ひとつなき寒晴れの向かうから

極月

極月の監視カメラの街にゐる

横時雨

ポスターの吼える男や横時雨

年の暮

悲しみに時系列なく年詰る

義士の日

義士の日の白き時間を食いつぶす

冬の日

学び舎に昭和の冬の日の既視感(デ・ジャビュ)

スノードーム過去の時間に雪降らせ

風呂吹き

風呂吹きや指先にある赤ワイン

十二月

十二月追はれて追はれ逃げる人

返り花

かみさまの死角を埋め返り花

十二月八日

十二月八日を迎へ淋しかり マンハッタンに箱船の着くレノンの忌 レノン忌のダコタ・ハウスに夕餉の灯

枯野

枯野より全き老人跳び出せり

冬の蜂

いにしへの光の中へ冬の蜂

冬の空

肺青く染むる冬空仰ぎたり

冬銀河

天秤のつり合ふ距離に冬銀河

底冷え

底冷えやはらわたに沁む笛の音

冬薔薇

冬薔薇の仄かに青しひとりの夜