光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

花冷え

マザーリング欠けしこの世の花見かな 春満月エアーズロックの真上なり 花冷えの枕木を踏む下駄の音

春は曙

春はあけぼの我に棲みつく孤独かな あやかしを秘め影ゆれる春障子 赤き帯枝垂れ桜となりにけり

枝垂れ桜

桜咲き寄り道多くなりにけり 幸降らす枝垂れさくらの揺らぎかな 旅立ちの駅に桜の枝垂れたりフランシーヌ巴里に泪す三月尽

犬ふぐり

旅人を癒す飛騨路の犬ふぐり 里山が始発駅なる春銀河 春満月飛騨の裾野に旨寝せり

中山道(御嶽〜大田宿〜鵜沼〜岐阜〜美江寺)

日うらうらリュック一団足軽ろし 縺れ合う初蝶高く昇りけり 初蝶や飛騨の青空縺れゆく 黄水仙ラジオ聴きつつ野路ゆけり 紫木蓮可児郡可児町森閑と ゆさゆさと標の一樹白木蓮 対岸の風鎮もれる竹の秋 御嶽山白き帽子を見せにけり 旅人の見上げてゐたる白木蓮 …

墨田句会吟行

囀りや森の中より一詩人 沈黙の汐入りにゐて春寒し ヘリコプターホバリングする彼岸かな 梅散って黒きオブジェとなりにけり 春時雨銀座二丁目ルノアール 迷ひつつ標の一樹花辛夷 菜の花やガラスの檻の縄文人マラソンに華やぐ都心春の雨

一声に瞼で応ふ春の猫 マンションのベランダ駆ける春の猫 類想もむべなることよ春の空

沈丁花

沈丁の香に甦る蹉跌かな 沈丁の香の漲れる路地抜ける 春の雨地球を吊るすクレーン車

我思う故に我在り春の椅子 春昼のガラスの檻に縄文人白き船封書の如き春の沖

初蝶

危ふげに初蝶小道よぎりけり 初蝶はワルツ踊りて現れし 暖かき刻動きけり花時計師の熱き言葉広ごり冴返る

春の月

春月や息吸ふたびの渇きあり 青空に春月掬ふ観覧車 棲むものの声耀かす春の月

返歌

「晩夏」 健次はまだか晩夏がジャズとなつてゐる/春樹麦秋や記憶の海の回遊魚

「河」

角川春樹主宰作品 初ざくら師系といふはこころざし 北窓を開けば父母のなき山河 逃げ水の裏側ありて引き剥がす もののふや花の師系にまぎれなし 何ひとつ掴むものなし流し雛 寂々と餓えあり蛇が穴を出る主宰特選 黄水仙アビーロードに朝が来る/光声主宰秀逸 …

春の闇

心臓の音逸れける春の闇 わたしにも水掻生るる春の闇 春愁の標の樹より暮れ行けり

辛夷咲く

ボランティア休む川辺に辛夷咲く 香古木懐かしき門新芽吹く火の壁の路地よ三月十日かな

春の闇

三月十日記憶の椅子が燃えてゐる 春の野や清水のはしる無人駅 風光るラピスラズリの山上湖 春愁が涯の駅から乗り来たり かごめかごめ如月の空餓ゑてゐる 春の闇よりジュ・テームとなりにけり

三月十日

「竹の塚界隈吟行・都俳連」春愁や布袋の腹の石光り 蒲公英や洟垂れ小僧の見えぬ路地 寺町の路地裏ばかり木の芽風 寺町の路地は恋猫ばかりなり 恋猫に嫉妬してゐる路地暮らし三月十日火の壁立ちしこともあり 火の壁の路地の腐臭や三月十日

春銀河

春愁や水族館の回遊魚 黄水仙アビーロードは緩き坂 往還の道の涯なる春銀河

虎落笛句会 出句5句

懐かしき路地へのしるべ白椿 春の雪遥けきものと降り来る 春泥の乾ききつたる靴並ぶ 春めくや清水の走る無人駅 露天湯に身をしずめたる朧かな

木の芽風

読売新聞「魂の一行詩」3月7日 秀逸 椋鳥の声降りしきる日暮の樹木の芽風辿れば園児の靴並ぶ 春泥の靴勲章のごと並ぶ なんとなく春月われを見ていたり

春の雨

春の雨つくづく淋し詩の器 春の雨坐る人なき青き椅子春愁が涯の駅から乗り来たり

揚雲雀

揚雲雀ひかりの粒となりにけり 対岸のディズニーランド朧かな 真赤な嘘ついて貰ひし春の風邪

三月

開店のネイルサロンや風光かる 三月や記憶の椅子が揺れてゐる立つ場所の違えば見えぬ朧かな

春の磯

万象のひかり溢るる春の磯 空っぽの水族館の春の水 春愁や水族館の暗い水 傾れたる白亜紀の崖冴え返る

雛の夜

エディット・ピアフ独り聞いてる雛の夜 もの言はぬ声聞いたよな雛の夜 捨て猫の鳴き声細き雛の夜

冴え返る

早春や膨らみ初めし水平線 冴え返る喫水線は空にありあらがふて裏返されて春の闇

囀り

囀りやひとりにひとつ命あり 巻貝の奥まで詰まる春愁 風光るラピスラズリのペンダント

春の雨

春の雨東京ノイズ消しにけり 猫ばかりゐる春雨の無人駅かの世への入り口なるか春の闇