光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

市川真間吟行

弘法寺の桜は白を噴きにけり いのちの緒つなぎて桜しだれけり すれ違ふひとみな愛でる桜かな 日が差せば桜に濃淡ありにけり 鐘撞けば手児奈の桜応へけり

春銀河

グリニッジ時間の春昼春夜かな 春銀河二重螺旋のひしめける 蛇穴を出で神木に登りけり

春愁

春銀河父の燈台漂流す 春愁ひ標の樹より暮れにけり 陽炎や草の奈辺に過去の海

春驟雨

春驟雨メールに離愁ありにけり たれも持つ暗渠に春の雨降れり 雨縷々と屋根流れ落つ春の暮

春の雨

春の雨つくづく淋し詩の器 春愁や水のヴェールの包むもの うつくしく記憶の地図に夜の桜

永田町を舞う「謎の鳥」・・・・クライン孝子より

日本には謎の鳥がいる。 正体はよく分からない。 中国から見れば「カモ」に見える。 米国から見れば「チキン」に見える。 欧州から見れば「アホウドリ」に見える。 日本の有権者には「サギ」だと思われている。 オザワから見れば「オウム」のような存在。 で…

栄螺

ガウディの教会傾ぐ栄螺籠 白亜紀の海のこゑある栄螺かな 神の手の未完の美しき栄螺かな

「角川春樹」作品 ひとりゆく道はるかなり雲に鳥 惜別や思慕のごとくに花の雨 獄を出て落花の中を帰りけり ゆく春や流るるものを人と言ふ 花あれば父の挽歌の紛れなし 秀逸 図書館に少年ひとり鳥帰る 佳作 白魚や進化論とはなんだらう

つばくろ

沈黙の神の爪あり白木蓮 つばくろの似合ふ雨なり並木道 駅頭に喪服の婦人ら春の暮

白木蓮

図書室に少年ひとり鳥帰る 五分咲きの灯の点りたる辛夷かな白木蓮少女の剣士角より来

ひと参じ離るるまでの朧かな 哀しみのこゑがこゑ呼ぶ花の冷え 揺らぎなき一行詩あり春の暮皿の水に浮かべし椿笑ひけり

はちまん句会

主宰選 秀逸 たましひを吐き出す夜の桜かな 若草で拭ふ血糊のありにけり 一本の桜すずしく野に立てり

雁風呂

雁風呂に淋しきこゑの沈みけり 燈を灯し沖ゆく船や雁供養

囀り

囀りやラジオ体操聞こえくる 囀りやパンの匂ひと猫のこゑ 透明な渡り廊下や燕来る

しゃぼん玉

しゃぼん玉散骨の意思告げてみる なにごとも明かさぬ吾子やしゃぼん玉 しゃぼん玉記憶の人が微笑みぬ

孕み猫

追憶の図書館にゐし孕み猫 孕み猫トーア・ロードを横切りぬ 詩の本に子供の風の光りけり

白魚

白魚に未完の時間ありにけり 白魚の色を貰ひて逝きにけり 白魚や進化論とはなんだらう三月十日母生き延びて今の我 死臭ある墨堤にゐて三月十日原罪の透けて白魚ありにけり