光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

夏越

ボランティアてふ心意気梅雨じめり タタールの風懐かしき夏越しかな 影たちの歩くトルファン夏帽子

風待月

街中にジンタ流るる溽暑かな 底紅の中に転がる悔いもあり 竹百幹風待月の声放つ

墨田句会 吟行(大田黒公園・すぎなみ詩歌館)

緋の鯉の闇吐く口でありにけり 蟻の列蟻の時間を運びたる 曇天に豆腐売らるる芙美子の忌 一行詩生む苦しさの溽暑かな 梅雨真中うつむいてゐる碑の夢二 ゆだねたきもの傍にゐて草いきれ 六月の空に沈まぬ観覧車 鉄線花台所より母の声 八月の無口な影となつて…

舟虫

白亜紀の呼吸のかたち山椒魚 凌霄花犬吠埼まではるけしや 白亜紀のしずかさを食む舟虫よ

1Q84

パラレルな世界に遊ぶ蛍かな 返品のきかない人生半夏生 夏あざみ鼻筋高きデスマスク

「河」千葉支部  車中吟

のうぜん葛そんな落ち方しなくても/伸子 目つむりて見えてくるもの額の花とつぱずれてふ青岬猫棲まふ/まさ子 烏賊釣船出を待つしじまありにけり満ちるほどにごりて一山の四葩/美智子 フジタの白に海と夏空抱擁す皐月波でんぐり返してのびる/俊 落花生ボック…

沖縄忌

大待宵草アメリカ向きに咲きにけり 白亜紀のしずかさ食める舟虫よ ー沖縄忌ー ヘイ・ベイビー犯されてゐる夏の雲六月の海の丸まる水平線 バス降りてすぐに蜥蜴を踏みにけり

「河」

出句3句 父の日の娘やつぱり遠くゐる 短夜のマンハッタンは蒼きジャズ ピースキーパーだなんてお前赤い薔薇角川春樹主宰作品 日常を裏返しては卯波寄す 父の日や昨夜に残りしカレー煮る アロハ着て島のをとこになりきれず 昼に降る雨もみどりや夏座敷 捲き…

父の日

父の日の娘やつぱり遠くゐる 傍にゐて父の日の娘のはるかなり泰山木に父みる漢ありにけり

六月

梅雨晴間月下に眠る象の皺 父の日やワイングラスに摩天楼 六月の街写し絵となりにけり

桜桃忌

桜桃忌斜陽読む日ときめてをり ユーモアは生きる糧なり桜桃忌 無頼にはなれずじまひの桜桃忌

堀切菖蒲園

菖蒲園までの紫陽花明りかな 街騒の遠く鎮もり花菖蒲 無垢の色極めてをりぬ花菖蒲 堀切の菖蒲の園に迷ひけり 句座の日の紫紺の中の白菖蒲 白菖蒲俳句ともだち酒が好き 北斎も写楽も集ひ花菖蒲 梅雨晴間見知らぬひととゐたりけり スカートの揺れの向かふの白…

薔薇

ピースキーパーだなんてお前赤い薔薇

梅雨

誰だつて淋しい梅雨でありにけり 梅雨晴間翅音の海展がれり観覧車六月の青掬ひけり

蝸牛

葉脈に雨音溶けて蝸牛 葉脈に雨音の詩かたつむり ででむしの角に古代の声触るる

月下美人

晩春の蘂に残れり九輪草 月下美人ワイングラスに紅き海 惜しみつつ月下美人と別れけり

かはほり

万緑やゆだねたきものふやしをり 刻を食み闇ひろげたる蚊喰鳥 かはほりや思い出持たぬひとなくて

紫陽花

紫陽花や重みみせたる海の風 五月闇ひつそり落ちる口の中 赤き椅子畳まれてをり夜のプール

コーラ

磁力ある句座にコーラと愛憎と パセリ噛みノルウェイの森思ひけり 蝙蝠や金平糖を撒き散らす

五月闇

青梅雨や洞はアリスの世界なり 枝豆や捨てたき男未練あり 五月闇ピアノの蓋は閉じしまま

六月

六月や写し絵の街彷徨ひぬ 罪と罰書架に傾いで梅雨に入る 六月の深みに亀の沈みけり

万緑

ゆだねたきもの万緑に満ちにけり 緩き坂愛撫してゐる花石榴 惜しみつつ放つ言の葉えごの花

夏帽子

人の名を付けて金魚を飼ふてみる 花いばらこの下町に句座幾つ 葉桜や摩天楼から日の欠けら すれ違ふ課外授業の夏帽子 コーラ飲み「いちご白書」をもう一度

山椒魚

ゆだねたる水に声あり山椒魚 Tシャツの躓いてゐる石の磴 青空へ螺旋展びゆく茂りかな

更衣

衣更へて四肢の十字架晒しけり 鍵盤へ音の吸われし更衣

関口美術館

万緑を吐き鋼鉄の鶏啼けり 姫沙羅の花の散りたる美術館 犬の唄孕める女像青時雨 重き椅子三脚並ぶ薄暑かな 道標てふ鴉像風薫る 白亜紀の静寂にふるえ更衣

「河」幻戯山房句会

六月のコンビニに買ふ非日常 もののふのパナマ帽佇つ詩歌館 母の水脈追ふ少年に青しぐれ 磁場となる幻戯山房夏の月 山房の寝茣蓙に蒼き風の音 葉桜の余熱たましひ撃ちぬけり 欲望の畳まれてゐる新樹かな (石・笹・窓) 水底の石叩きけり山椒魚 笹の径辿れば…