2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
たましひを螢に託す帰郷かな
梔子やけふがきのうへ落ちてゆく
今生きることは幻さるすべり
螢観る背広の男かたまりて
夏至近し天秤棒もゲバ棒も
長靴の女がひとり螢狩 螢狩へ泣きにきてゐる女かな
少年の海まだ蒼し金魚玉 金魚玉己を映し暮れゆけり
コーラ飲む父の日といふ歌舞伎町 父の日や無頼に遠く家族とゐ 父の日を聲なく老ゆるいのちかな 父の日や角川春樹長生きせよ
濡れて来し螢裸身を晒しけり ほうたるは妣なる国の闇より来 螢くる闇か水音低くあり
そこここにアリスの覗く蟻地獄
ゲバ棒も天秤棒も黴にほふ
時の日や夢見て眠る猫のごと
万緑や魚に似たる顔ばかり
蒼穹が割れてしづかに六月来
緑陰に無口な鸚鵡吊るしけり 革命があかんべしてる浮いてこい(春樹主宰作品) 遺されてわれの暮れゆく花水木 水のこゑ地のこゑありて夏越かな 花水木水より風の澄みにけり 累なりし月日の白し花水木 緑陰やこの世に遠きものばかり 父の日やわが生誤植ばかり…
アブラカタブラ唱へてゐたる薔薇浄土