光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

行く秋

冬近し追い抜いて行くピンヒール 行く秋の水黒々とウナギの背 行く秋や土蔵の梁の黒光り

葉鶏頭

癒されるすべなき孤独葉鶏頭 雁渡る遠き色なす日暮かな 月天心魂の時間となりにけり

木の実降る

ほの紅き萩のいのちに触れにけり あきらかに我が肩めがけ木の実降る 萩咲くや赤き灯のトリスバー

秋桜

秋晴れの一樹に水のこゑのあり 遥かより風届きけり秋桜 秋淋しぽんと抜けたるコルク栓

月の船

荒海や寂しき月の航海す 荒海の暗さほのかや月の船 水底に月輝きて沈みけり

秋思

食卓に家族四人の秋思かな 四人家族の秋思を皿に盛りにけり 餓えた子や赤い羽根より赤い靴

運動会

運動会走つて走つて独りなり 運動会我も家族として走る 運動会ほどよき日差しありにけり ビー玉の中に真青な運動会 もう家族揃ふことなき秋の暮

長き夜

長き夜の異界へ続くテント劇 秋驟雨ふたりの女絡みけり 秋思かなジンタ流るるサーカス団 落とし前つける十指の秋思かな サンドバギー走る砂丘や秋の暮

曼珠沙華

過去未来貫いて咲く曼珠沙華 曼珠沙華矢切の渡しまで燃ゆる 曼珠沙華地底にきつと火山脈

秋の暮

さぼうるの木椅子の軋む秋の暮 母の水脈遥かに見ゆる秋夕焼

赤い羽根

葬送の雨より帰り茸汁 少年の微熱かがよふ赤い羽根

銀河

萩咲くや癒す術なき孤独あり 日輪の海に溶けたる九月尽 月浴びて大山椒魚の動かざる 銀河系遥か遥遥雁渡る