2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧
晩夏かな胸の氷河の動き出す
三叉路に水飲んでゐる黒揚羽
白桃を齧れば朝の悲しみ来
捨てられし街にかなかなしぐれかな
はんざきや未生以前の記憶あり
晩夏かな指に極微の感受性
梅雨空の透けゆく光ゲとなりにけり
片陰を連れ去る象の花子かな
匍匐する時代に生きて冷奴
開きたる眼に漆黒の花火かな
夕焼けの底を歩いてゐたりけり
前略といふ貌をして銀漢へ
二十二時の花火淋しさ募りけり ちゃらんぽらんにけふは聞こえる遠花火 花火果て戻る闇なら囁けよ愛
人ひとり通れる路地の七変化
お花畑冷たき耳を拾ひけり
四万六千日人生ゲームの半ばとす 鬼灯を鳴らせば見ゆるぽるとがる 花やしきより無口なる黒揚羽 片陰に己の影を忘れけり なんとなく鬼灯鳴らす真昼かな 熱り立つをんな鬼灯売ってをり 緋鯉一群女の虚無を吐きにけり 人混みを自由な蟻が過ぎりけり 涼しさをむ…
孤独とはテムズ河畔の夜の蟻
根の国の女に抱かる蛍の夜
天にこゑ泰山木の開きたり
七月の風の化身となりゐたり
石榴咲き見える筈なりぽるとがる
峰雲や一行詩とはこころざし 向日葵の駅を遠くに海鳴りす アロハ着て黄泉平坂越ゆるかな角川春樹主宰 作品 夜のプール人を思ひて椅子にあり かなかなや父に昭和の日暮あり まだ少し残る未来や天の川 浜昼顔沖に自愛の未来あり 七夕や番号で呼ぶ死刑囚 鉄格子…