2018-01-01から1年間の記事一覧
いのちの緒ひつぱつてみた大晦日
梟を火宅の人が鳴かせけり
雪明り美しきうつし世歩みけり
歳晩や夫婦ふたりの理髪店
バオバブの木に猿の声霜のこゑ
はるかなる聖夜の青き空なりし
書架に差す冬日に眠る「罪と罰」
不機嫌に冴ゆる鴎外デスマスク
凍蝶千頭スカイツリーより天降る
一本の冬木が光る日暮かな
表参道明るき銀杏落葉かな
スノードーム過去の時間に雪降らせ
小春日や亡き人と乗る観覧車
街角を削る風あり十二月
駄菓子屋の白熱電球町しぐれ人声のやうな木枯し鼻先に革命を考えてゐる冬の猫冬ざれの谷中の書肆は黙の中しぐるるや猫の出でくるラブホテル
極月の夏日のあとの観覧車
夕暮れが来て狼とはぐれけり
漂泊の夢の縫ひ目や冬日差す
プロペラ少年二度旋回す小春かな
つながりあふことのしあはせ小春日に
海鳴りの日々の一日や神の旅
いぼむしりひらひら翔んでより枯るる
冬オリオン応へよ 命とは何か
わたくしの神は残酷冬に入る
木枯しやカクテル色の日暮れあり
月光裡吃りて詩人毒吐けり
スクランブル交差点神なき枯野横たはる
つかの間の鳥の飛跡や秋深し
時駆ける装置の古書肆秋の暮
ハロウィンの孤独な影が落ちてゐる