光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2015-01-01から1年間の記事一覧

葉牡丹

葉牡丹の孕む宇宙を愛すかな

木枯し

木枯しやジャズまたジャズの地下酒場

降誕祭

日本は倖せな国クリスマス降誕祭ヨゼフのごとく淋しかり

煤逃げ

煤逃げや「真夏の夜の夢」の席

赤き雪

前線も銃後も赤き雪降れり

短日

プラネタリウムみて短日の街へでる

十二月

十二月空の扉は開きしまま

聖樹

聖樹灯りマンハッタンに森匂ふ

冬薔薇

冬薔薇や詩の王国へ歩み入る

冴ゆる

刻本の聖書の皹の冴ゆるなり

十一月十一日

十一月十一日の淋しさよ

初時雨

月島にもんじやの匂ひ初時雨

秋深む

降るもののみな美しく秋深む

ハロウィン

ハロウィンの孤独な影が落ちてゐる

秋燕忌

篁に記憶鳴り出づ秋燕忌

蘆の花

人類は遊んで死んで蘆の花

露寒

露寒や乱歩の墓へ少年来

衣被

きぬかつぎ漢は話聞くばかり

秋暁

秋暁の森の奥より水のこゑ

ラ・フランス

少年と神の死角にラ・フランス

秋のこゑ

父の樹の泰山木に秋のこゑ

秋刀魚

戦争を知らぬ漢ら秋刀魚食ふ

良夜

方舟が錨を下ろす良夜かな

秋海棠

母恋へば秋海棠より昏れゆけり

秋思

正直にものいふひととゐる秋思

九月

神の影踏んでしまひし九月かな

雁渡し

またの世をまだ知らずゐて雁渡し

実南天

生きるとは大きな遊び実南天

野分

山羊の尻並びて帰る野分かな

秋思

尻尾まで象は秋思のかたちなり