2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧
ときどきは火のやうに燃ゆ冬紅葉
戦前と言へば言へさう冬紅葉
沢庵を噛みて言はざる一語あり
天空の落葉焚かれてゐたりけり
古稀などは洟垂れ小僧冬北斗
龍の玉遥けきものにいのちの緒
湯豆腐やさびしさ軋む雨の音
だんだんと己透けゆく冬紅葉
一行詩冬日満つれば生まれけり
おほかみのたましひ残る祖国かな
名誉欲のみ育ちたる枯野ゆく倚りかかる冬日の壁にある昭和
幸せな時間の見えぬ時雨かな
ビロードの華麗な柩冬の月
ボージョレ・ヌーボーうれひの色を溢しけり
小春空なりし田園調布駅
冬暖か思い出したる一語あり
枯れ色の庭にちょこんと帰り花
温もりの母のこゑする石路の花
禿頭はすこしお洒落か冬の鵙
花ダチュラ雌伏の至福知らぬひと
闇あれば海鼠の命かとおもふ
立冬のこころは水を潜りけり
ガーゴイル十一月の雨吐けり
いつまでも芒みてゐる赤い靴
よき顔の安野光雅文化の日なんにでも「文化」くっつく文化の日
思い切り帆の向き変へて十一月
菊人形虚実の距離のありにけり