2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧
本牧の夜はジャズ流れ八月尽
子の沓の耳のごとくにある晩夏
毀れないやうに晩夏の光脱ぐ
風景の周囲がめくれ八月尽
人鳴りの聞こゆ新宿秋暑し
落蟬の澄みたる眼拾ひけり
沖はるか一日みてゐる処暑の椅子
眸の中に無限の海と晩夏光
夢さめてさびしき花の烏瓜
新秋や塗り替へられし朱の鳥居
傍らを銀河流れて淋しいぜ バイクの日俳句の日なり秋桜
妬心とは峠にゆるる夏薊
身の壺の水爽やかに応へけり
自転車の前と後ろに子を乗せて今朝も眩しく若き母過ぐまだ青きトマトを齧る少年は鼻のニキビの汗を拭ひぬ
耳のごと子の沓並ぶ晩夏かな
八月のどこを洗ふも火の匂ひ
うなさかを帰る八月十五日止り木が敗戦の日の我が孤島バーボンに昭和を忘る敗戦日稲の花咲きだしてゐる敗戦日
空蟬の中にいのちの忘れもの
寂幕と長き路地なり健次の忌路地がありそこに晩夏のジャズがあり健次忌の路地の明るき日照雨かな石榴の実まだまだ青き中上忌新宿に深き闇ある健次の忌
東京に青空戻る盆休み
蟬声やいざ生きめやも生きめやも
ふらふらと灼けたる風の立ちにけり
ナガサキの時計十一時二分なり
行く夏を物言はぬまま老ゆるかな
消えがたき消印残す晩夏かな
虹色の鶴翔び立てぬ原爆忌まつすぐに八月の蟻きたりけり石榴の実まだまだ青き広島忌
炎天に被爆樹木のこゑのあり
唐突に逝きしあなたの微笑みへ握り拳を弔意としたり
片蔭を出でて死の影揺曳す
稲妻や明日へ通じぬ路地のあり