光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2017-01-01から1年間の記事一覧

金木犀

沈黙の緑を生きて金木犀

晩秋

空はからつぽ晩秋のカフェの窓

曼殊沙華

火の篩愛の篩や曼殊沙華

虫鳴く

人間てふ淋しき虫の鳴きにけり

秋の雨

馬車道を海の香走る秋の雨

あかつきの闇に拾ひし月の殻

新米

やはらかきいのちなりけり今年米

蚯蚓鳴く

もう誰もゐない仕事場蚯蚓鳴く

銀漢

銀漢や時間遺伝子犇めきぬ

捨案山子

捨案山子天の泉を見つめをり

小鳥来る

鍵盤の白き象牙や小鳥来る

新涼

新涼やシーツに昨夜の記憶の香

秋思

閉ざされし無数のドアにある秋思

小鳥来る

マンハッタン・グランドゼロへ小鳥来る

長き夜

よく喋る妻ゐて子ゐて夜長し

野分

冷徹な為政者佇てり野分中

九月

残像の漂ふばかり九月来る

九月

セプテンバー雲砂のごと流れゐる

葉月尽

火の色の海せりあがり葉月尽

銀河

神々の死より銀河の生れけり

無花果

うぶすなの無花果腐臭放ちけり

銀河

マザーリング手繰りて渉る銀河かな

螢一匹夜の向かうへ飛べずゐる

天の川

筋書のなき生を生き天の川

門火

追憶に生きる齢や門火焚く

人悼むやうにかなかな啼きにけり

甲冑を脱ぎ捨て蝉の唄ひけり

八月

句集「聲」にて第10回日本一行詩大賞・新人賞受賞 八月の彼岸へ星の航海図

白地

白地着てデジャヴュ街道ゆく戦士

麦酒

ビアジョッキ飲み干してより手に重し