2016-01-01から1年間の記事一覧
生臭き樹皮剥しをり日の盛り
六月の雨ぬけてくる新幹線
アマリリス人の容のかなしけれ
牛蛙知るや健康幻想史
夕焼や象のはな子は逝きたまふ
闇を曳く雲は東へ麦の秋
ジーンズで過ごす晩年燕子花
薔薇の香やふさぎの虫に噛まれたる
見ゆるもの全て過去なり花は葉に
この星の鼓動昂ぶる立夏かな
啄木忌夜汽車に母の匂ひあり啄木忌ラブホテルから少女出づ懐かしきインクの匂ふ啄木忌
幼子がひとりで戻るつくしんぼ
春愁のクレージーにしてくはせ者
初花の見上げられたるあとの空
ゆふべには夕べの春の空があり
生かされてゐると思へり三月は
春雷や嫌なあいつに会ひにゆく
三月や大海原の闇匂ふ
生きてきたやうに死にゆく春の月
春の航星座に抱かれゐたりけり
バリケード越え来しものに犬ふぐり
大海原を胎児漂ふ二月かな
おとうとにやさしき姉や龍の玉