光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2013-01-01から1年間の記事一覧

立冬

丹田に力こめたり今朝の冬

秋の暮

足の裏覗き込みたる秋の暮

雁渡し

許し請ふことなく生まれ雁渡し

文化の日

文化の日我が猫プーとポポ撫づる

柊の花

ははのこゑする柊の花あかり

「河」11月号 掲載作品 処暑の椅子

いつぽんの道灼けてゐる敗戦日 芙蓉咲く健次の来たる気配かな 百日紅しんかんたるや白鳥忌 沖はるか一日みてゐる処暑の椅子 名の月や澄雄の恋ひし湖澄めり 秋暁や水になりゆく鳥のこゑ

雁渡し

天の扉を閉じ忘れゐて雁渡し

柘榴の実

充実の色でありけり石榴の実

天高し

天高しことばはみんな嘘つけり

秋の蝶

秋の蝶光の扉開きけり

秋しぐれ

土の香のこみあげてくる秋しぐれ

泡立ち草

哀れかな少年の日の泡立ち草

夜食

夕鶴を想ふひとりの夜食かな

稲滓火

稲滓火の向かう昭和の日暮かな

鳳仙花

指切りの別れや白き鳳仙花

短歌「虹の会」  月

青春の蹉跌のありし歌舞伎町いづこ曲がるも月の路地あり 百万回生きた貌する猫の眼が我をみつめて欠伸をしたり

秋の虹

秋の虹飢餓海峡に架かりけり

秋桜

もう一度母に逢ひたし秋桜

野分

躁・鬱の野分となれり吾の孤島

曼珠沙華

曼珠沙華許しあふかに野辺海辺

鳥渡る

始祖鳥の羅針盤つけ鳥渡る

秋つばめ

死の死など問うなと秋のつばくらめ

秋高し

秋高し見えざるものと交感す

小鳥来る

人間といふ淋しさに小鳥来る

小鳥来る

絞首刑執行の朝小鳥来る

「河」10月号掲載句

八月 八月のまつすぐにくる蟻の列 夕焼けのある星ゐて原爆忌 母の水脈追ふ少年に蝉時雨 健次忌の晩夏の雨に打たれけり 黄金街ジャズに暮れゆく健次の忌 健次忌の雨を熱気と思ひけり

秋桜

倒れてもまた立ち上がる秋桜

十月

真先に子らに十月来てゐたり

九月尽

蝶番ひとつ外れて九月尽

秋のこゑ

暁闇のつくづく深し秋のこゑ