光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

河 五月号掲載作品

      錆びたる斧   

身の洞に錆びたる斧と薄氷

陰神の亀裂に春の無精卵

春暁や声なきもののこゑあまた

蜂起など出来ぬ地虫ら穴を出づ

群れゐても孤独は孤独鳥帰る

不意に師の視線と出遇ふ春の暮

西行の日や乱吹くべし一行詩