光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

2011-01-01から1年間の記事一覧

良夜

巻貝のしづかに動く良夜かな

秋思

空を飛ぶペンギンのゐて秋うらら 草は穂に休まぬコイン駐車場 目詰まりを起す時間の秋思かな 止り木が虚数の位置となる夜長 秋蛍夜の向かうへ飛べずゐる 駅前でびい玉を売る星月夜 深海へ飛び込んでゐる星月夜 皮下脂肪ばかり殖やして水澄めり 秋天に鼻のあ…

子規忌

海鼠から悪女を思ふ子規忌かな

秋螢

秋蛍夜の向うへ飛べずゐる

法師蝉

街騒の消えしままなり法師蝉

今日の月

生かされてゐること確か今日の月

星の海

澄みきつてたましひ抱かる星の海星月夜我を囲みし水平線たましひを星降る海へ置き忘る

銀河

臓腑から搾り出したる我が銀河

月の座

月の座にちちははのゐる気配あり

撫子

撫子や夜の孤独に堪へてをり

冬瓜

冬瓜や逢へば素直になれる人 冬瓜が分水嶺に置かれゐる冬瓜を煮て月光を溢れさす

銀河

愛し合ふたびに銀河の遠ざかる

雁月夜

雁月夜いのちふたつの過ぎりけり

迢空忌

曼珠沙華まつさかりなり迢空忌

草の絮

草の穂のなかに見知らぬ駅がある

八月尽

避難所の墓まで続く曼珠沙華 一匹となり秋蛍乗る夜汽車羅針盤すべて過去さし八月尽

石榴

不可思議の詰まる石榴の暮れにけり

放屁虫

大嫌ひなんて云ふなよ放屁虫

空蝉

空蝉にまだ残りたるみどりの夜

烏瓜

烏瓜連なり湖にある孤舟

夜光虫

(ヨダとは三陸地方では津波のこと) ヨダの来し地にゴドー待つ晩夏かな白き時間汀に流れ夜光虫

「河」江戸川勉強会

涼新た静かに泣いて午後の椅子 我は誰鏡の国の曼珠沙華 ヒロシマや主語なき碑文ゆらぎをり 不発弾抱へ中上健次の忌 新涼や椰子の実落ちる石畳

曼珠沙華

貴種流離したる巷や曼珠沙華

終戦の日

終戦の日に捕まえし銀ヤンマ

新涼

新涼や碧り切なき枯木灘 新涼やレース・グラスのタブレット 新涼や滝音つづく音の中

八月

八月の海より帰還する少女 八月や折鶴の黙降り積もる カタカナの都市に八月嗚咽せり

秋来る

も一つの世より無垢なる秋来たり

秋立

秋立つや青の時代の水汲めり

立秋

クシコスの郵便馬車や秋立てり群青の夢を残せし蝉の殻

河 

火の色の蝉の時雨となりにけり 敗戦の火の孤独なる天子かな ひたひたとおんなも水も夜の秋(角川春樹主宰作品) 生きるとは老いてゆくこと健次の忌 健次の忌健次が遊ぶ昭和の灯 フクシマや静かなる日の静かな死 秋の水縹渺として昏ゆけり 処暑の雨なにを創り…