光声の徒然日記

十七音で日々を徒然なるままに記す

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三月

三月を軋ませあまた忌日来る

河 五月号 掲載作品

時空の辻 三月がランプを持つて立つてゐる 地震狂ふ時空の辻や雲に鳥 春潮や母の黒髪靡きゐる 一湾にひかりいちまい麗けし 喧嘩して知る春風のやうなもの 親不孝通りを抜けて卒業す 悼 武正美耿子さん身の熟(こな)し美しき人ゆく桃の花

三月

我は聲なり三月の沖吼ゆる 三月の十一日の息遣ひ

三月

沈黙が語る沈黙三月来

三月

沈黙が語る沈黙三月来

「河」三月号 発表作品

冬たんぽぽ 枯れてゆくもののこゑ聞き暖かし 寄鍋やラヴ・ストーリーでも語らふか 通夜寒波たましひに人会ひに来る あけらかんと骨となりける汝に雪 中村家の墓の透き間に 冬たんぽぽ 寒卵つなぐいのちの温みあり しんしんと雪。津津と一行詩

河誌 五月号掲載

風に鳴る笛囀りや兜太平和な朝に死す人間は風に鳴る笛雲に鳥金縷梅やジャングルジムによく泣く子もの言へぬ三月十一日の朝霾るや動く歩道の不眠都市セザンヌ的農夫哲郎遠雪嶺囀りや人は言葉でさぐりあふ

弥生尽

三月を揺らしあまたの忌日去る

震災忌

もの言へぬ三月十一日の朝 フクシマや踏絵のタンク林立す 幾万の仮設の家の朧なり

三月

ラムネビン色の三月来たりけり

三月

青空に詩を書いてみよ三月は

三月

生かされてゐると思へり三月は

三月

三月や大海原の闇匂ふ

三月

三月やいま在る我を生きんとす

三月尽

修羅街の夕空美しく三月尽

三月十一日

三月の十一日の息遣ひ

河 五月号掲載作品

バレンタインデー忘れたふりをしてゐたり 人体の紐解けゆく木の芽風 たんぽぽや深まなざしの母がゐる 死はいつも他人事なりし豆の花 はるかなる聲に呼ばれし帰雁かな 三月十一日手紙のやうに雪ふれる

三月の海

鎮魂の三月の海溢れだす

震災忌

たましひと春満月の重なりぬ震災忌野にも海にも雪ふれる三月十一日沖よりこだま歸りたし

三月十日

三月十日ホロコーストの街に棲む

こゑ数多

三月十日十一日こゑ数多

「河」三月号 掲載句

「生きる」 雪来るかひたすらシャドーボクシング 生きるとは蒼天をゆく鷹一羽 枯野まで風の棲みかをたづねけり 降誕祭大きな真夜の来てゐたり 極月の監視カメラの街にゐる 鷹の座に風吹きかはる四日かな

雛の日

雛の日や集ひたるこゑやはらかし雛の日の時間ゆつくり流れをり三月の海見えぬやう雛飾るむらさきのフレアスカート冴返る

震災忌

鶴帰るころと思ひし震災忌 震災忌回転木馬まはりをりサイレンの棲む三月の海があり

三月

三月の月降りてゐる海の上

 三月十一日は震災忌

三月十日ぼくらはみんな生きてゐた 一報はいま仙台が燃えてゐる 三月十一日此岸は赤く吹雪きけり空白の中の空白震災忌震災忌いつもどこかに朝が来る この星に静けさ根ざす震災忌 三月十一日新しき時貰ひけり 新しき時間に生きる震災忌 飢え渇く青春にゐて震災忌春満月水漬く屍の翔ちにけり震災忌ひとつのこゑにみみすますしずけさのなかで落花の鳴り響く

三月尽

草色のもの溢れゐて三月尽 雪柳空どこまでも青くあり

「河」

「角川春樹主宰 東北関東大震災を詠む」三句地震狂ふ荒地に詩歌立ち上がる 新しきいのちの生るる飢餓の中 なゐふるや飢餓列島の吹雪きゐる 三月十日此岸は赤く吹雪きけり 特選 菜の花の中に仏をおろしけり 秀逸 地尽きる果ての海鳴りかぎろへり 秀逸

三月十日

三月十日雪崩るる空を泳ぎけり 渡れない三月十日の空の橋 三月十日此岸は赤く吹雪けり

2010年回顧

…天子は撃たれ建国日 三月 図書室に少年ひとり鳥帰る 四月 いのちの緒つなぎて桜しだれけり 五月 みどりの日アクアマリンの雨が降る 六月 父の日の遠き海鳴りありにけり 天にこゑ泰山木のひらきたり 七月 父の日の青き夕べとなりにけり 滴りや生きとし生けるもののこゑ 八月 止り木に朝が来てゐる健次の忌 健次忌の寂しき星にジャズ流る アルゼンチンタンゴ真赤な闘魚ゐる いのちの緒手繰りて渉る銀河かな 根の国に水奔らせて八月尽 地図のなき旅つづけをり天の川 九月 澄みきつて我が蒼茫の空に…